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振り込め詐欺は泣き寝入り? 家族ができることを弁護士が解説

公開日:2026年10月07日|更新日:2026年10月07日
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
振り込め詐欺は泣き寝入り? 家族ができることを弁護士が解説
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
「振り込め詐欺にあったかもしれない」…親からそんな連絡を受けたとき、強い不安や焦りを感じるのは当然のことです。

振り込め詐欺の被害は、初動対応によっては被害の拡大を防げたり、返金の可能性が残るケースもあります。大切なのは、慌てず、冷静に、正しい順番で対応することです。

今回は、親から「振り込め詐欺にあったかも」と連絡を受けたご家族に向けて、振り込め詐欺は本当に泣き寝入りしかないのか、今すぐやるべきこと・やってはいけないこと、銀行や警察、法律の制度でどこまで対応できるのかなどをベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。
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1、振り込め詐欺は泣き寝入りしかない?

親から「振り込め詐欺にあったかもしれない」と聞くと、「もうお金は戻らないのではないか」「泣き寝入りするしかないのではないか」と不安になる方が多いでしょう。

たしかに、振り込め詐欺の被害は簡単に回復できるものではありません。しかし、泣き寝入りになる可能性が高いことと、何もせず諦めてよいことは別です。

まずは現実を正しく知り、とるべき対応を整理していきましょう。

  1. (1)お金が戻ってこない可能性が高いのは事実

    結論から言うと、振り込め詐欺では被害金が戻ってこないケースが多いのは事実です。特に、以下のような場合は、泣き寝入りに近い結果になる可能性が高いとされています。

    • 振り込みから時間がたち、犯人がすでに口座から現金を引き出している
    • 振込先口座が他人名義や使い捨て口座で、追跡が困難な場合
    • 海外送金や暗号資産(仮想通貨)で送金してしまった場合
    • 口座凍結時点で、口座残高がほとんど残っていない場合

    このようなケースでは、銀行や警察に相談しても「返金は難しい」「結果的に戻らない可能性が高い」と説明されることがあります。

    なお、振り込め詐欺の被害金が実際にどの程度回復するかは事案によって大きく異なります。
    振込先口座に残高が残っている場合には、振り込め詐欺救済法による分配金支払を受けられる可能性がありますが、犯人が既に資金を引き出している場合には回復が難しくなる傾向があります。そのため、被害に気付いたらできるだけ早く金融機関へ連絡することが重要です。

  2. (2)それでも「泣き寝入り」は危険

    「どうせ戻らないから」と何もせずに終わらせてしまうのは危険です。
    なぜなら、振り込め詐欺の被害者は、被害者情報が流通することなどにより、再度詐欺の対象とされるケースがあるからです。

    実際には、以下のような二次被害にあう可能性があります。

    • 別の詐欺グループから再度詐欺電話がかかってくる
    • 「被害金を取り戻せる」とうたう業者から連絡が来る
    • 被害回復を名目に、さらにお金をだまし取られる

    このように「泣き寝入りしかない」と思い込む心理につけ込まれ、被害が拡大してしまうケースもあるのです。
    そのため、たとえ返金が難しい可能性が高い場合でも、泣き寝入りではなく

    • 状況を整理する
    • 適切な相談先に連絡する
    • 二次被害を防ぐ

    という行動をとる必要があります。

2、振り込め詐欺にあったと思ったらやるべきこと・やってはいけないこと

振り込め詐欺かもしれないとわかったとき、家族の対応次第で被害の拡大や二次被害を防げるかどうかが大きく変わります。

以下では、親(被害者)から第一報を受けたご家族が「まず何をすべきか」「逆にしてはいけないことは何か」を説明します。

  1. (1)振り込め詐欺にあったと思ったときにやるべきこと

    親からの連絡で、振り込め詐欺にあったと思ったときは、以下のような行動をとるべきです。

    ① 被害者(親)を落ち着かせる
    最初にすべきことは、被害者本人を責めず、落ち着かせることです。「どうして信じたのか」「なぜ相談しなかったのか」と責めてしまうと、本人が萎縮し、正確な状況を話せなくなるおそれがあります。

    まずは「今から一緒に対応すれば大丈夫」「責任を感じなくていい」と伝え、冷静に話を聞く姿勢を持ちましょう。

    ② どういう詐欺なのかあたりをつける
    次に、どのタイプの振り込め詐欺かを整理します。

    代表的な手口には、以下のようなものがあります。

    • オレオレ詐欺:子や孫、弁護士などを名乗り、「事故を起こした」「お金が必要」と言って振り込みを求める手口
    • 還付金詐欺:「医療費や保険料が戻る」と言われ、ATMで操作を指示される手口
    • 架空請求詐欺:未利用サービスの料金を請求し、支払いを急がせる手口

    特に、ATMの操作によって還付金を受け取れると説明される場合は、詐欺の可能性が極めて高いと考えてよいでしょう。

    ③ 証拠を集める
    後の対応に備え、証拠はできるだけ残してください。

    代表的な証拠は次のとおりです。

    • 振り込み明細や利用履歴
    • 相手からの電話番号、メール、SMSの内容
    • 会話の内容や日時、ATMを操作した場所

    「もう不要だろう」と思っても、連絡履歴やメッセージは消さないことが重要です。

    ④ 銀行・警察に連絡する
    振り込め詐欺は、時間との勝負です。被害に気付いた時点で、すぐに以下へ連絡しましょう。

    • 振込先の金融機関(口座凍結の要請)
    • 警察(被害届・相談)

    相談が早ければ早いほど被害回復の可能性が高まります。

  2. (2)振り込め詐欺にあったと思ったときにやってはいけないこと

    親が振り込め詐欺にあったと思った場合、以下のような行動をとるのはやめましょう。

    ① 被害者を責める
    被害者を責めることは、状況を改善するどころか、かえって対応を難しくします。強く責められることで、被害者が次のような状態に陥ることがあるためです。

    • 正確な状況を話せなくなる
    • 「これ以上迷惑をかけられない」と情報提供をためらう
    • 家族や警察への相談を拒む

    振り込め詐欺は、心理的に巧妙な手口が使われる犯罪です。
    誰でも被害にあう可能性があることを前提に、事実確認と今後の対応に意識を向けることが重要です。

    ② 相手の連絡先を消してしまう
    相手の電話番号、メールアドレス、SMSの内容などは、警察や金融機関に相談する際の重要な手がかりになります。

    「もう関わりたくない」「怖いから消したい」という気持ちは自然ですが、連絡履歴を消してしまうと、どの口座に・いつ・いくら振り込んだのか、どのような手口だったのかといった点の裏付けがとりづらくなってしまいます。

    そのため、振り込め詐欺に関係する証拠は、消さずに、そのまま保存しておくことが大切です。

    ③ 自分で相手と連絡をとる
    「家族として何とか取り戻したい」という気持ちから、家族が犯人に直接連絡をとってしまうケースがありますが、これは非常に危険です。

    犯人に接触すると、

    • 振込先口座をすぐに変更・移動される
    • 追加で金銭を要求される
    • 脅迫的な言動を受ける

    など、被害が拡大するおそれがあります。
    犯人とのやり取りは、警察や弁護士などに任せることをおすすめします。

    ④ SNSで被害にあったことを言う
    SNSで被害を公表すると、被害回復を装った業者や個人に狙われる可能性があります。

    「返金できます」「専門家です」「実績があります」などと近づいてきても、その中には不適切な勧誘を行う業者が紛れている可能性があります。

    被害状況は、警察や金融機関、弁護士、消費生活センターなど、信頼できる窓口に限定して相談するようにしましょう。

    ⑤ 「必ず返金できる」とうたう業者に連絡する
    振り込め詐欺の被害者を狙い、「必ず取り戻せる」「成功報酬だから安心」とうたう業者が存在します。

    しかし、このような業者は、被害回復を名目にした不適切な勧誘を行う業者である可能性があります。
    焦って相談先を誤ると、被害がさらに拡大するおそれがありますので、返金や法的対応については、公的機関や弁護士など、信頼できる専門家に相談することが重要です。

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3、銀行や警察ではどんな相談ができる?振り込め詐欺救済法とは何か

振り込め詐欺に気付いたら、「とにかく銀行と警察に連絡を」と言われることが多いですが、実際にどこまで対応してもらえるのかわからず、不安を感じる方も多いでしょう。以下では、銀行・警察でできることと限界、さらに振り込め詐欺救済法について説明します。

  1. (1)銀行・警察で相談できること

    被害に気付いたら、銀行と警察の両方に速やかに連絡することが大切です。それぞれ役割が異なるため、両方に相談することで被害の拡大防止と事件対応の両面からサポートを受けることができます。

    ① 銀行で相談できること
    振り込め詐欺に気付いた場合、まず連絡すべきなのが振込先の金融機関です。銀行に被害を申告すると、詐欺に利用された可能性がある口座について、凍結の可否を検討してもらえます。
    口座が凍結されれば、犯人による出金や資金移動を防げる可能性があります。
    また、凍結時点で口座に残高が残っていれば、その後の返金手続きや、振り込め詐欺救済法に基づく分配の対象となることもあります。
    ただし、すでに犯人が全額を引き出している場合や別の口座へ送金している場合には、銀行だけで被害金を回復することは難しいのが実情です。
    そのため、被害に気付いた時点で、できるだけ早く銀行へ連絡することが重要となります。

    ② 警察で相談できること
    警察では、振り込め詐欺の被害について被害相談や被害届の提出を行うことができます。また、事案によっては被害者が刑事告訴を行うことも検討できます。
    被害届が受理されると、事件として扱われ、口座の利用状況や犯人の行動について捜査が行われる可能性があります。
    もっとも、警察の主な役割は、犯人を特定し、処罰するための刑事手続きです。そのため、警察に相談したからといって、必ずお金が戻ってくるわけではない点には注意が必要です。

    銀行と警察は、それぞれ役割が異なります。被害の拡大を防ぐためには銀行へ、事件としての対応を求めるためには警察へ、両方に速やかに相談することが重要です。

  2. (2)振り込め詐欺救済法とは?

    振り込め詐欺救済法は、預金口座への振り込みを利用した詐欺等の被害者が少しでも被害を回復できるよう設けられた制度です。ただし、救済を受けるには一定の条件があり、手続きにも期限があるため、内容をしっかり理解しておくことが大切です。

    ① 振り込め詐欺救済法の趣旨
    振り込め詐欺救済法は、犯罪に利用された預金口座を凍結し、その口座に残っているお金を、被害者に分配することで、迅速な財産的被害の回復を目的としています。

    ② 救済を受けられる対象口座の要件
    この制度による救済を受けるには、主に以下の前提条件を満たす必要があります。

    • 犯罪に利用されたと認められる口座であること
    • 口座が凍結された時点で、口座残高が1000円以上残っていること

    犯人がすでに引き出し、口座残高が1,000円未満になっている場合は、残念ながら、この法律による救済の対象になりません。

    ③ 申請の流れ
    振り込め詐欺救済法に基づいて被害回復を受ける一般的な流れは、以下のとおりです。

    ・銀行による口座凍結
    金融機関が犯罪利用の疑いがある口座を停止します。
    ↓
    ・債権消滅手続
    預金保険機構のウェブサイトでの公告を経て、一定期間内に名義人からの申し出がなければ口座名義人の権利を消滅(失権)させます。
    ↓
    ・分配金支払手続
    公告を行い、被害者からの支払申請を受け付けます。
    ↓
    ・分配金の決定・支払い
    金融機関が犯罪被害額を決定し、被害者に分配します。

    申請には期限があるため、銀行や警察から案内を受けたら速やかに対応することが重要です。

    ④ お金が戻ってくる場合にかかる期間
    分配金が支払われるまでには、少なくとも半年以上かかるのが一般的です。

    また、複数の被害者がいる場合は、被害額に応じて分けられるため、全額が戻るとは限りません。

    ⑤ 預金者保護法が関係する場合もある
    ケースによっては、「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律(預金者保護法)」による保護を受けられる可能性があります。

    偽造や盗難されたキャッシュカード・通帳を用いてATM等から不正に預金が引き出された場合に、金融機関が原則として損害を補填(ほてん)する制度です。

    自ら振り込みを行ってしまう「振り込め詐欺」には原則として適用されませんが、キャッシュカードを言葉巧みにすり替えられて盗み取られる「キャッシュカード詐欺盗・窃盗」などの手口の態様によっては検討の余地があります。

  3. (3)銀行や警察で対応が難しいと言われた場合の相談先

    詐欺の形態や被害状況によっては、銀行や警察から「これ以上の対応は難しい」と言われることもあります。その場合でも、以下のような相談先に相談することができます。

    ① 消費生活センター
    詐欺被害全般について、具体的な助言を無料で受けられます。ただし、振り込め詐欺のように犯人が即座に逃亡・隠匿する犯罪の場合、センターが仲介する交渉相手が存在しないため、犯人が特定できない犯罪の性質上、あっせん等による解決が極めて難しいのが実情です。

    ② 弁護士
    民事手続きによる返金請求の可能性を検討できるほか、警察への被害届提出や刑事告訴の手続きをサポートすることも可能です。特に、被害額が大きい場合や対応に迷う場合は、早めに弁護士へ相談することで、今後とるべき行動についてアドバイスを受けることができます。

4、振り込め詐欺にあわないための予防法とは

振り込め詐欺は、事前に家族で対策をしておくことで、被害を防げる可能性が高まります。以下では、特別な知識がなくても家族で今日から取り入れられる予防策を紹介します。

  1. (1)家族の間で電話や振り込みに対するルールを作る

    ・例)家族間で合言葉を決めておく
    振り込め詐欺では、親族や公的機関を名乗って突然お金を要求し、冷静な判断を奪う手口が多く使われます。
    そこで有効なのが、家族しか知らない合言葉をあらかじめ決めておくことです。万が一、「事故を起こした」「至急お金が必要だ」などと連絡があった場合でも、合言葉を確認できなければ、すぐに振り込みをせず、一度電話を切る判断ができます。
    合言葉は、他人に推測されにくく、家族全員が覚えやすいものを選びましょう。

    ・例)振り込み前に必ず相談するルールを作る
    被害を防ぐために、「お金を振り込む前に、必ず誰かに相談する」ルールを決めておくのもおすすめです。
    詐欺犯は「今すぐ」「今日中に」と判断を急がせます。あらかじめ家族で「どんな理由であっても、振り込み前には必ず家族に連絡する」と決めておけば、冷静に状況を見直す時間を確保できます。特に、高齢の親が一人で判断しない環境を作ることが、被害防止につながります。
  2. (2)防犯機能がついた固定電話に変える

    振り込め詐欺の多くは、固定電話への着信から始まります。そのため、防犯機能がついた固定電話の導入は有効な対策のひとつです。

    以下のような機能がある電話機を使うことで、犯人が電話を切るケースもあります。

    • 通話内容を自動録音する
    • 着信時に警告メッセージを流す
    • 迷惑電話を自動で遮断する

    親が使っている電話環境を一度確認し、必要に応じて見直すことも大切です。

5、まとめ

振り込め詐欺にあったかもしれないとわかったとき、不安や焦りを感じるのは自然なことです。しかし、「泣き寝入りするしかない」と決めつけて何もしないことは、被害の拡大や二次被害につながるおそれがあります。

被害に気付いたら、できるだけ早く銀行や警察に連絡し、状況を整理しましょう。返金が難しい場合でも、とるべき対応は残されています。冷静に行動し、必要に応じて専門機関や弁護士へ相談することが大切です。

振り込め詐欺の被害回復に向けた対応でお困りの際は、ベリーベスト法律事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
消費者トラブルへの知見が豊富な消費者問題専門チームの弁護士が問題の解決に取り組みます。
マルチ商法や霊感商法、悪徳商法などをはじめとした消費者トラブルでお困りでしたら、ぜひ、お気軽にご相談ください。
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