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永代供養は中途解約できるのか。弁護士が解説
「永代供養を解約したいが、応じてもらえるだろうか」
「すでに支払った費用は戻ってくるのだろうか」
このような悩みは、決して珍しいものではなく、同様の問題で裁判にまで発展したケースも存在します。しかし、感情的な問題や、寺院との関係性を気にするあまり、ひとりで抱え込んでしまう方が多いのも現実でしょう。
永代供養契約とは、故人の供養のために毎年の忌日や彼岸などに寺院で永久に行う読経を依頼し、これに対する対価として金員を支払うことです。これは寺院などと利用者との間で結ばれる「契約」です。ひとたび契約した以上、事情が変わったとしても、解約や返金の希望が簡単に通るとは限りません。
本記事では、永代供養にまつわるトラブル事例や、中途解約の可否、費用の扱いについて、実際の裁判例や法律の観点から、弁護士がわかりやすく解説します。
1、永代供養で裁判に発展した事例
永代供養は、長期にわたる契約であるため、予期せぬ事情(転居、親族の意向、改葬など)により、中途解約を余儀なくされるケースがあります。
しかし、寺院側も経営計画に基づいて墓地を運営しているため、解約や返金に対して難色を示すことがあります。実際に起きたトラブルと裁判所の判断を見ていきましょう。
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(1)トラブル事例①:解約時の返金をめぐるトラブル
「一度納められた永代供養料は一切返金しない」と主張されるケースです。
利用者としては「まだ供養を受けていない分の費用は返金されるべきではないか」という疑問が生じます。
この点について争われた裁判例を紹介します。
【事案の概要】
利用者が生前に永代供養契約(納骨堂使用)を解除し、支払い済みの金銭の返還を求めたところ、宗教法人側は「支払われた金銭は『お布施』であり、返金義務はない」と主張しました。
【裁判所の判断】
裁判所は、今回の永代供養契約により支払われた金銭について、「単なるお布施(寄付)」ではなく、以下の法的性質を持つ「契約に基づく対価」であると認定しました。- 永代供養料:死後の供養を依頼する対価(準委任契約)
- 納骨壇申込金:納骨のための一区画を使用するための対価(賃貸借契約を含む混合契約)
その上で、これらの契約は将来に向かって解約することが可能であり、未履行部分(まだ受けていないサービス分)については返金請求ができると判断しました。
本件では、契約書に解約や返金を制限するような特約がなかったため、民法の原則通りに解約と返金が認められたという側面もあります。
【ポイント】
今回のケースでは、契約とは別に支払われた多額の「お布施」については、返金請求が認められませんでした。なお、「お布施」であれば一律に返還請求が認められないわけではありません。
また、かねてからある一般のお墓(墓石を建てるタイプ)の「永代使用料」については、判例上「土地を使用する権利設定の対価」と解釈され、慣習的に返還されないことが一般的です。もっとも、本判例では、「納骨堂内の障壁及び扉によって区画された遺骨の収納場所」に応じて申込金を支払い、これに対して「半永久的な利用権を設定することを内容とする契約」であるため、「別段の合意がない限り、納骨堂の使用者はいつでも納骨堂使用契約の解約申入れができる」としています。
「永代供養だから必ず返ってくる」わけではなく、契約内容や費目の性質によって結論が異なる点には注意が必要です。この点について、どのような法的な判断となるのか疑問のある方は、一度弁護士に相談するのが賢明です。 -
(2)トラブル事例②:ご遺骨が戻ってこないトラブル
永代供養では、あるタイミングで他のご遺骨と合祀(ごうし)されて供養が続けられるのが大きな特徴です。一度合祀(ごうし)されるとご遺骨の分別は不可能となります。
ここで、寺院側の判断で合祀してしまい、ご遺骨を取り戻せなくなったケースの裁判例をご紹介します。
【事案の概要】
ある寺院の納骨施設に遺骨を預けていた利用者(遺族)が、改葬するため寺院に対して遺骨の返還を求めました。
しかし、寺院側は「いかなる場合も遺骨は返還しない」という規約を盾に拒否し、勝手に合祀して返還不能とさせました。
【裁判所の判断】
「遺骨は返還しない」という規約について、裁判所は、あくまで管理費滞納時や親族間の争いに巻き込まれることを避けるためのものであり、権限のある遺族が返還を求めた場合には、寺院はこれを拒むことはできないとしました。
その上で、承諾なく遺骨を合祀して返還不能にした寺院の行為は、契約違反(債務不履行)または不法行為に当たるとして、寺院側に慰謝料の支払いを命じました。
【ポイント】
本件のポイントは、供養やご遺骨の管理などについて責任を負う「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」からご遺骨の返還を求められた場合、契約に従って合祀されたため物理的に不可能であるといった正当な理由がない限り、寺院側はこれを拒否できないという点です。
本件では、寺院側が祭祀承継者の意向を無視して合祀を行い、返還不能にさせた点が違法と判断されました。
なお、永代供養契約の中には、「寺院側を祭祀承継者とする」ケースもあり、その場合にはご遺骨の返還が受けられないという事態も考えられます。
このように、過去の裁判例を見ても、利用者側の「解約したい」「返金してほしい」「遺骨を返してほしい」という希望は、個別の契約に法律を当てはめて判断されることになります。
では、実際に永代供養を中途解約することはできるのか、お金は戻ってくるのかという疑問について、その法的な考え方と具体的な判断基準について次章で詳しく解説していきます。
2、永代供養で中途解約はできるのか、お金は戻ってくるのか
永代供養契約の「解約の可否」と「返金の仕組み」について、法的な根拠をもとに整理していきます。
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(1)「中途解約」は基本的に可能
一度結んだ契約を、利用者側の事情で解約することはできるのでしょうか。
結論から言えば、「中途解約(契約をやめること)」自体は、ほとんどのケースで可能と考えられます。
前章でも簡単に触れましたが、多くの永代供養契約は、以下の2つの性質を併せ持った契約です。① 準委任契約(供養の依頼)
原則として「当事者の一方がいつでも解除することができる。」と定められています。
② 賃貸借契約または使用権設定契約(納骨場所の利用)
原則として利用者側の事情で解約を申し出ること自体は、妨げられません。
そのため、たとえ寺院側が「解約は認めない」と主張したり、契約書にそのような記載があったりしても、法的には利用者を無理やり契約に縛り続けることはできないと考えるべきです。 -
(2)返金の有無は「契約内容」と「状況」次第
解約はできても、お金が戻るかは別問題です。
返還の可否は主に以下の要素で判断されます。- ① 契約書の内容(解約時の規定の有無やその内容)
- ② 解約のタイミング(期間の長さ)
- ③ 費用の内訳(永代使用料か、管理費か、お布施か)
なお、厚生労働省の標準約款(ひな形)でも、「一定期間内なら既納金の一部を返還する」といったルールが例示されており、これと同内容の条項のある契約であれば返金される可能性が高いでしょう。
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(3)「いかなる理由があっても返金しない」取り決めは無効の可能性
では、契約書に「既納の金銭は、いかなる理由があっても返金しない」と書かれていたら、諦めるしかないのでしょうか。
実は、個人(消費者)と事業者との契約において、あまりに一方的な内容は「消費者契約法」により無効とされる可能性があります。・平均的な損害を超えるキャンセル料(同法9条)
「平均的な損害」とは、同一事業者が締結する多数の同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害をいいます。これは、事業者には多数の事案について実際に生ずべき平均的な損害の賠償を受けさせれば足り、それ以上の賠償の請求を認める必要はないということです。
サービス未提供分も含めた全額没収などは事業者(寺院)側が受け取っている額について「平均的な損害の額を超えるもの」といえ、事業者(寺院)側が金銭を多く取りすぎているとして無効となる可能性があります。
・消費者の利益を一方的に害する条項(同法10条)
- ① 消費者に不利な方向に規定されている契約条項で、
- ② その程度が民法の信義則上許容される限度を超える場合に当該契約条項が無効となる可能性があります。
3、永代供養のトラブルの相談先
このように永代供養契約の中途解約や返金が問題となった場合、主に2つの相談先が考えられます。
「消費生活センター」と「弁護士」が挙げられますが、それぞれ「できること」や「解決力」に大きな違いがあります。
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(1)消費生活センター(国民生活センター)
無料で気軽に相談できる窓口として、各地の消費生活センターがあります。
行政が設置しているため、中立的な立場で一般的なアドバイスをもらえる点はメリットです。
また、センターの担当者が寺院側に連絡を入れる「あっせん」を行ってくれる場合もあります。
しかし、消費生活センターには法的な「強制力」がありません。
あくまで「話し合いの仲介」にとどまるため、寺院側が「契約通りですから返金しません」「弁護士を通してください」などとかたくなな態度をとった場合、それ以上踏み込んで交渉することができません。 -
(2)納得のいく「解決」を目指すなら弁護士への相談が近道
もうひとつの選択肢は、法律のプロである弁護士への相談です。
弁護士への相談は費用がかかりますが、その分、消費生活センターにはない、解決へ向けた以下のような活動が可能です。① 契約条項の法的チェック
永代供養契約書や規約を精査し、利用者にとって不利な取り決めが法律に照らして有効か無効か、返金可能性がどの程度あるかを判断します。
② 個別のケースでの最適な解決方法をアドバイス
「全額返還を求めるべきか」「一部返還で和解を目指すべきか」など、利用者の希望と現実的な解決方法を見極め、アドバイスを行います。
③ 相手方との代理人交渉(受任した場合)
弁護士に解決を委任すれば、弁護士が交渉窓口となり、寺院側と交渉を行います。
慣れない交渉を行う精神的なストレスから解放されるとともに、弁護士は法的な根拠に基づいて交渉するため、相手方の真剣な対応を引き出すことが期待できます。
さらに、交渉で合意に至らない場合には、最終的な解決手段として裁判手続き(訴訟や調停)を見据えることになりますが、交渉から裁判まで一貫して任せられる点は、弁護士へ依頼する最大のメリットといえるでしょう。
④ 遺産相続トラブルの対応も可能
供養に関するトラブルは、しばしば親族間の意見の相違や、相続をめぐる問題が背景にあることも少なくありません。
弁護士であれば、供養の問題だけでなく、相続問題や親族間調整も含めたトータルサポートが可能です。「確実にお金を取り戻したい」「相手と話したくない」「法的に決着をつけたい」という局面では、契約の専門家であり、交渉のプロである弁護士への相談が、解決への最短ルートと言えるでしょう。
4、まとめ
本記事では、永代供養の中途解約とそれに伴うトラブルについて解説してきました。
最後に、重要なポイントを改めて整理します。
- 永代供養の中途解約は、基本的に可能
- 返金の有無は、契約内容や解約時期など個別の状況により異なる
- 「いかなる場合も返金不可」というような契約条項は、無効を主張できる余地がある
やむを得ない事情で永代供養を解約せざるを得なくなったとき、不誠実な対応をされたり、理不尽な条件で泣き寝入りしたりする必要はありません。
もし、ご自身だけで解決が難しいと感じたら、専門家の力を借りることもご検討ください。
ベリーベスト法律事務所は、供養に関するトラブルのご相談を承っております。
「契約書の内容を確認してほしい」「寺院との交渉をすべて任せたい」など、どのようなお悩みでも構いません。
解約のタイミングが重要なケースもありますので、お早めにご相談ください。
消費者トラブルへの知見が豊富な消費者問題専門チームの弁護士が問題の解決に取り組みます。
マルチ商法や霊感商法、悪徳商法などをはじめとした消費者トラブルでお困りでしたら、ぜひ、お気軽にご相談ください。