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家族が詐欺に遭ったら何をするべきか。弁護士が解説
昨今では、SNSやアプリを悪用した勧誘に加え、AIによる音声複製やディープフェイク、匿名性の高い暗号資産(仮想通貨)といった最新技術が犯罪に利用されています。どれほど注意深い方であっても被害に遭う可能性があると言っても過言ではありません。もしご家族が詐欺に遭った場合には、ご本人を責めたくなる気持ちを抱くのも無理はありません。
しかし、被害金の回収や二次被害の防止のためには、周囲の冷静な対応が不可欠です。本記事では、ご家族が詐欺に遭った際、
・ まず取るべき初動対応
・ 相談先と各機関の役割
・ 返金の可能性と現実的な限界
・ 再発防止のための具体策
について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、家族が詐欺に遭った場合の初動対応|すべきこと・避けるべきこと
詐欺被害に遭った場合の初動対応で重要なことは、被害拡大を防ぎつつ、正確な情報を整理することです。
ご本人は強いショックや混乱状態にあることが多いため、ご家族は「一緒に解決しよう」という姿勢を示しながら、以下の点を確認してください。
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(1)支払状況の確認(送金前か後か)
まだ支払っていない場合は、絶対に支払わないよう、冷静に説得してください。
「今日中に支払わなければ裁判になる」「財産を差し押さえる」といった脅し文句は、詐欺の典型的な手口です。
すでに支払ってしまった場合は、これ以上の支払いを止めることが最優先です。
一度支払った被害者は、さらなる送金を求められる「二次被害」に遭う可能性もあります。 -
(2)「証拠」を消さない・捨てない
警察や弁護士に相談する際、客観的な証拠は極めて重要です。
以下の資料は、可能な限りすべて保管してください。- 振り込み明細書、領収書、電子マネーの購入・利用履歴
- メールやSNSのやり取り、アカウント情報(スクリーンショット保存)
- 電話の発着信履歴
- 郵送物やパンフレット(封筒・宛名書きを含む)
- 通話録音データ(ある場合)
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(3)連絡先を保管する/直接交渉はしない
相手の連絡先を把握すること自体は重要ですが、ご本人やご家族が直接犯人と交渉することは避けましょう。
詐欺グループは言葉巧みに相手を誘導するため、さらに個人情報を引き出されたり、二次被害に遭ったりするリスクもあります。
犯人の特定や被害回復の交渉は、警察や弁護士に任せるのが賢明です。 -
(4)被害の経緯をメモにして整理する
周囲の人が冷静に以下の内容を、できるだけ具体的にメモにまとめておきましょう。
- いつ、どのようなきっかけで接触があったか(電話、メール、訪問など)
- 相手はどのような役職や名義を名乗ったか(役所、警察、金融機関、投資勧誘など)
- いつ、いくら、どのような方法で支払ったか
- 現在、相手とは連絡が取れる状態か
金融機関や警察、弁護士へ正しい被害情報を伝えることは解決への第一歩となります。
記憶が曖昧になる前に、ささいなことでもメモに残しておくことで、後に重要な証拠となる可能性もあります。
2、詐欺被害の相談先|各機関の役割
状況に応じて、適切な窓口へ迅速に被害の申告や相談をしましょう。
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(1)金融機関・電子マネー発行会社
銀行振り込みやATM送金を行った場合は、一刻も早く振込先口座がある銀行へ連絡してください。
「詐欺に使われた可能性がある」と伝えることで、口座を凍結し、被害の拡大を防ぐとともに、口座に残高があれば返金の可能性が残されています。
電子マネーの場合も、使用前であれば利用停止や返金が可能なケースがあります。
発行会社の被害申告専用ウェブサイトを確認してください。
1分1秒を争いますので、警察への相談と並行して行いましょう。 -
(2)警察
「詐欺」は犯罪ですので、警察への通報は不可欠です。
現に犯人に脅されているなど、緊急性の高い場合の通報先は「110番」ですが、詐欺被害の相談は警察専用相談電話「#(シャープ)9110番」を利用してください。
なお、警察の役割はあくまで犯人の特定と摘発で、被害者の代わりに返金交渉をしてくれるわけではありません。
被害金の返金や損害賠償について、警察は対応してくれないという点に注意してください。 -
(3)消費生活センター
訪問販売や強引な契約のように「詐欺なのか、悪質な契約をさせられたのか」判断に迷うケースでは、消費生活センターへの相談も有効です。
専用窓口として消費者ホットライン「188(いやや)」が用意されています。
消費生活センターでは、消費者トラブル全般について情報が集積されており、「詐欺事例」として把握されているケースもあります。
相談は無料ですが、相手が身元を隠している詐欺グループの場合、消費生活センターの力で解決するのは期待できないのが実情です。 -
(4)弁護士
「実質的な返金請求」や「法的な手続き」の代理ができるのは弁護士のみです。
警察は犯人逮捕が目的ですが、弁護士は依頼者の利益である返金を最優先に動きます。
なお、警察に被害を申告しても「民事トラブル」と判断して捜査を渋るケースもあります。
弁護士なら、詐欺などの犯罪に当たると考えられる場合、法的な根拠や証拠を示して、刑事事件として捜査を行うよう警察に働き掛けることも可能です。
弁護士などをかたる二次被害に注意 弁護士や公的機関を装い「全額取り戻せる」といった甘い言葉で、調査費用や着手金をだまし取る二次被害も発生しています。
被害金の回収は、経験豊富な弁護士であっても困難を極める場合も多く、「絶対」「確実」という表現は警戒すべきサインです。
3、詐欺に遭った場合の対処法や返金の可能性
詐欺によって一度相手方の手に渡った金銭を取り戻すことは、現実には極めて困難です。
しかし、少しでも返金の可能性を高めるための知識を持っておくことは重要です。
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(1)「振り込め詐欺救済法」による返金手続き
銀行口座への振り込みによりお金をだまし取られた場合の被害回復のため、「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配当金の支払等に関する法律)」という法律で口座の凍結や返金の手続が定められています。
詐欺に使われた口座の資金が出金されずに残っている場合に、被害額に応じて、金融機関から返金がなされる制度です。
ただし、実際には送金直後に引き出されているケースも多く、返金が困難な場合も少なくありません。 -
(2)相手の特定が困難なケースの限界
SNSでの勧誘や広告を入り口とした「SNS型投資詐欺」や、暗号資産(仮想通貨)を悪用した手口では、相手の正体を突き止めること自体が困難を極めます。
また、詐欺グループも拠点を海外に置いて、警察の捜査から逃れているといわれています。
弁護士は「弁護士会照会」という方法を使い、電話番号や口座情報の開示を求めることができます。
しかし、相手が使用しているのが「飛ばし携帯(他人名義)」や「買い取られた口座」であれば、追跡はそこで途絶えてしまいます。
相手の住所や氏名が特定できなければ、民事訴訟を起こすことができないという非常に厳しい現実があります。
また、仮に犯人が捕まったとしても、賠償する資力がない場合は、金銭を回収することは困難です。 -
(3)契約に問題がある場合は返金の可能性も
相手の身元が判明している「悪徳商法」や「強引な投資勧誘」であれば、法的手段で契約を取り消して、被害回復が図られるケースも少なくありません。
詐欺とは断定できなくても、以下のような法律を用いて契約の有効性を争います。① 特定商取引法
訪問販売や通信販売などに厳格なルールを設けています。
契約の取り消しや一定期間無条件で解約可能なクーリングオフで消費者保護を図っています。
② 消費者契約法
事業者と消費者の情報格差につけこむなどした消費者に一方的に不利な契約は無効とされることがあります。
③ 民法
内容があまりに不当であったり、法の規定に反したりする契約は無効とされることがあります。
また、違法な行為があった場合は、損害賠償請求も選択肢となります。これらは法的な手続きによって契約を白紙に戻し、支払ったお金を取り戻すアプローチです。
弁護士が介入し、法的な主張を組み立てることで、悪徳業者から返金を勝ち取れるケースもあります。
4、今後の対策
詐欺被害の再発防止は、被害回復と同様に重要です。
詐欺グループ間で被害者情報が共有され、再び標的にされるリスクを避けるための具体的な対策をご紹介します。
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(1)通信環境の対策
詐欺グループとの接触機会になることが多い固定電話やスマートフォンなどの通信環境に関する対策です。
① 防犯機能付き電話の設置
着信前の警告アナウンスや迷惑電話の自動ブロック機能により、不審者との接触を断つことができます。
② 国際電話の利用休止
海外からの特殊詐欺を阻むため、「国際電話不取扱受付センター」への申し込みにより、国際電話の発着信を一括して休止することが可能です。
③ SNS・アプリの設定見直し
見知らぬ相手からのDM制限や、公式ストア以外からのアプリインストール禁止をルール化するのも有効です。
また、不審なアプリは削除しましょう。 -
(2)孤立を防ぐ定期連絡
詐欺グループは、ご本人をうそでパニックに陥れて、誰にも言わないように口止めをして孤立させる方法をとることがあります。
ご家族との頻繁な連絡により、異変に気づくきっかけになるとともに、ご家族に相談するきっかけにもなります。 -
(3)資産を守る法的な対策
ご本人の判断能力に不安がある場合や、将来のリスクに備えたい場合には、成年後見制度や家族信託の活用もご検討ください。
① 成年後見制度
認知症などで判断能力が不十分になった方を、家庭裁判所が選任した後見人などが法的にサポートする制度です。
特徴 判断能力が著しく低下した人を見守る「後見」では、ご本人が結んだ契約を後から取り消すことが可能です。
判断能力の程度に応じて、特定の財産処分行為に限定したサポート(保佐・補助)も選択できます。留意点 家庭裁判所の監督下に入るため手続きが煩雑です。
基本的に途中でやめることはできず、柔軟な財産運用(孫への贈与など)は難しくなります。
② 家族信託
信頼できるご家族に、特定の財産の管理・処分権限を託しておく仕組みです。
特徴 「預金の管理権」や「実家の処分権」を子が持つことで、親が独断で大金を引き出すことを防げます。
後見制度よりも柔軟な運用が可能で、相続対策を併用する設計も可能です。留意点 本人に判断能力があるうちに、緻密な信託契約を結ぶ必要があります。 法的な対策について、どの制度が適しているかは、ご家族の状況や財産構成によって異なります。
また、法的判断を伴うため、まずは弁護士に相談し、シミュレーションを行うことをお勧めします。
5、まとめ
家族が詐欺に遭ったと知れば、動揺するのは無理もありません。
しかし、被害回復の明暗を分けるのは冷静な初期対応です。
金融機関等への連絡により資金の移動をストップし、警察への被害申告は至急行いましょう。
弁護士は、警察・金融機関との連携から返金交渉、再発防止策の構築まで、法的な視点でトータルに支援します。
詐欺被害金を取り戻すことが難しいケースがあるのも事実ですが、ご家族が安心して生活できる環境を取り戻すためにも、まずは弁護士へご相談ください。
その上で、信頼できる弁護士かどうかをご自身の目でご確認いただくことをお勧めします。
ベリーベスト法律事務所では、詐欺被害に関するご相談を受け付けております。
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