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投資詐欺は泣き寝入りなのか。弁護士が教える投資詐欺への対処法

公開日:2026年06月03日|更新日:2026年06月03日
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
投資詐欺は泣き寝入りなのか。弁護士が教える投資詐欺への対処法
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
「必ず利益が出る」という虚偽の勧誘や、金銭の持ち逃げといった投資詐欺の被害は、今もなお後を絶ちません。金融庁には、令和5年と令和6年の2年間だけで約1万5000件もの投資詐欺に関する相談が寄せられています。未公開株、外国通貨、自然エネルギー、「プロ向けファンド」の悪用など、詐欺の手口も年々巧妙化しており、誰もが被害に遭う可能性があります。

投資詐欺の被害に遭うと「欲を出した自分が恥ずかしい」「だまされるなんてバカだった」と自責の念から泣き寝入りをしてしまうケースもあるでしょう。しかし、泣き寝入りは詐欺グループが最も望む状況で、さらに別の詐欺に狙われる二次被害を招くおそれもあります。

投資詐欺かもしれないと思ったら、まずは一度立ち止まって、冷静に事実を受け止め、迅速に対応することが重要です。

出典:「投資詐欺にご注意を 気をつけるべき6つのポイント。相談窓口もご紹介。」(政府広報オンライン)

1、投資詐欺で泣き寝入りしてしまう4つの理由

投資詐欺の被害に遭い最終的に「諦める」という選択をしてしまう理由は、いくつかあります。
なぜ解決が難しいのか、その背景を整理しましょう。

  1. (1)相手方と連絡が取れなくなる

    投資詐欺の加害者は、被害者が異変に気づいたタイミングで、すべての連絡手段を遮断します。SNSアカウントの削除、電話の解約、拠点の移転といった逃走工作を組織的かつ計画的に行うのです。

    個人で相手方を追跡しようとしても手がかりがなく、諦めてしまう方が多いです。

  2. (2)投資の失敗か詐欺かの判断が難しい

    本来、投資にはリスクが伴うため、単に損失が出たというだけでは犯罪にはなりません。
    詐欺グループはこの「投資のリスク」という言葉を隠れみのにします。

    「今は相場が悪いだけだ」「必ず持ち直すから追加資金が必要だ」ともっともらしい説明をされると、それが詐欺なのか、投資によるリスクなのかの判断が難しくなります

    この判断の難しさが、法的手続きをためらわせる要因となります。

  3. (3)警察に刑事告訴を受理してもらうハードルが高い

    警察に被害届を出そうとしても、十分な証拠がなかったり、民事上のトラブル(借金の踏み倒しなど)と判断されたりすると、受理されないことがあります。

    警察には「民事不介入」という原則があり、事件性が認められにくい段階では積極的に動いてもらえないケースも少なくありません。

    一般の方が独力で詐欺の証拠をそろえるのは非常に難しく、この段階で諦めてしまう方も多いのが実情です。

  4. (4)「恥ずかしい」という心理的障壁

    投資で損をしたということや、詐欺に遭ったということは、周囲に相談しづらい問題です。
    令和3年版「犯罪白書」では詐欺被害者の声が特集されており、羞恥心や自責の念が相談の妨げになっていることが紹介されています。

    しかし、被害を一人で抱え込んでいる状況につけこんで、救済を装って金銭を騙し取る詐欺被害(二次被害)に遭う事例も発生しているので、注意が必要です。

    出典:「令和3年版 犯罪白書」(法務省)

2、自力で解決するのは危険! やってはいけないNG行動

お金を取り戻したいという一心で行動したことが、かえって法的解決を難しくしてしまうことがあります。
以下の行動は、被害回復を困難にするだけでなく、逆に不利な立場に立たされたり、さらなる被害に遭ったりするリスクを伴うため、避けるようにしてください。

  1. (1)SNSで相手方の情報を拡散する

    SNSで相手方を攻撃するような行為は、たとえ詐欺被害に遭ったと考えられる状況でも正当化されるとは限りません
    十分な証拠がない状況では、誹謗(ひぼう)中傷と評価されて名誉毀損(きそん)に問われるリスクがあります。
    法的解決を目指す際、相手方から反撃の材料として利用されるおそれがあり、結果としてご自身の立場が不利になる可能性が考えられます。

  2. (2)直接交渉して返金を迫る

    相手とまだ連絡が取れる場合、自分で説得して返金させようと考えるかもしれません。
    しかし、詐欺師は言葉巧みに人をだますプロです。
    「あと数万円の手数料を払えば全額引き出せる」といったうそで時間を稼がれ、さらに被害が拡大するケースも少なくありません。
    また、交渉の過程で投資の失敗だと認める発言に誘導され、返金を拒むための証拠として利用されてしまうリスクもあります
    さらに、下手に問い詰めると、逃亡や証拠隠滅を誘発してしまい、調査や追跡の経験に長けている弁護士でも、追跡が極めて困難になることがあります。

  3. (3)脅迫的な言動

    怒りに任せて相手方に危害を加えるかのような強い言葉を投げかけることも、民事・刑事の双方で反撃の口実にされるおそれがあります。
    失言を録音されてしまった場合、脅迫等での刑事告訴を示唆され、相手方に交渉材料として利用される可能性があるのです。
    相手方との直接の接触は、冷静な判断を失い、相手方に反撃の隙を与える結果になりかねないため、慎重な行動が必要です。

  4. (4)「返金」をうたう無資格者への依頼

    ネット上で「詐欺被害を必ず解決します」「独自のルートで返金させます」などと宣伝している業者や自称弁護士には十分な注意が必要です。
    弁護士資格を持たない者が報酬を得て返金交渉を行うことは、弁護士法違反(非弁行為)にあたります。
    こうした被害救済を装う組織は、被害者の心情につけこみ、着手金だけを奪って連絡を絶つことを目的としている可能性が極めて高いといえます。

3、公的機関や弁護士に相談すべき理由

投資詐欺の被害に遭った直後に、相談をためらってしまうのは無理もありません。
しかし、専門家に頼ることで得られるメリットは、金銭の回収だけではありません。
早期に適切な窓口へ相談することは、被害の拡大を防ぎ、事態を収束させるための現実的な手段となります。

  1. (1)さらなる被害の連鎖(二次被害)を断ち切る

    詐欺被害に遭った方の情報は、別の詐欺グループに共有・転売されるケースが少なくありません。

    一度被害に遭うと、より巧妙な詐欺の勧誘を受ける事例も確認されています。

    早めに弁護士や公的機関に相談し、詐欺の手口を客観的に把握しておけば、こうした二次被害から身を守るための予備知識を得ることができます。

  2. (2)相手方の口座を凍結できる可能性がある

    被害金を銀行振り込みで支払った場合、迅速に動くことで相手方の口座を凍結できる可能性があります。

    振り込んだ残高が口座に残っているうちに、詐欺救済法(振り込め詐欺救済法)に基づき、金融機関に対して口座凍結及び残高の分配を求める手続きをしたり、民事保全手続により引き出しや振替ができないようにする等の法的手段が検討可能です。
    被害金が口座に残っているうちに迅速にアクションを起こすことが、被害回復の数少ないチャンスにつながります。

  3. (3)精神的な負担を軽減し、日常生活を取り戻す

    相手方との直接交渉や、警察・金融機関への対応をすべてご自身で行うのは、多大な労力とストレスを伴います。

    法律のプロである弁護士が窓口となることで、相手方との接触を遮断し、日常生活の立て直しに専念できるようになります。

4、投資詐欺の正しい相談先とそれぞれの役割

どこに相談すべきか迷ったときは、目的に合わせて以下の窓口を検討してください。

  1. (1)金融機関(銀行・クレジットカード会社)

    銀行振り込みをした場合は、振込先の銀行へ、クレジットカードで決済した場合は、カード会社へ至急連絡してください

    不正な取引として支払いを停止したり、口座内の残金を被害者に分配する手続き(振り込め詐欺救済法)が進められたりする可能性があります。

    これらはスピード勝負となるため、迅速に対処しましょう。

  2. (2)警察

    相手方の処罰を求めたい場合には、警察に「被害届」や「告訴状」を提出するのが第一歩となります。

    まずは警察の相談専用ダイヤル「#9110」へ電話し、被害状況を伝えるのがよいでしょう。
    すぐに逮捕に至らなくても、相談の実績があることで銀行が口座凍結に応じやすくなるなどのメリットがあります。

    ただし、警察は「犯人からお金を取り返す」という民事的な手続きを代行してくれるわけではないことを理解しておきましょう。

  3. (3)弁護士

    お金を取り戻したいと考えているのであれば、弁護士への相談が最も有効な方法です。

    弁護士は、被害額にかかわらず、あなたの代理人として相手方との交渉や訴訟・強制執行手続をすべて代行することが可能です。

    ただし、弁護士への依頼には着手金や成功報酬などの費用がかかります。
    被害額が少額の場合、取り戻せる金額よりも弁護士費用のほうが上回る「費用倒れ」のリスクがあるため、相談時にしっかりと見積もりを確認することが大切です。

  4. (4)消費生活センター

    「だまされたかもしれない」と不安に思ったときに、手軽に相談できる窓口です。

    消費者ホットライン「188」が用意されており、専門の相談員が状況を聴き取った上で、今後どのような対応を取れることができるか無料で助言をくれます。

    消費生活センターは代理で相手方と交渉してくれるわけではありませんが、過去の類似事例に基づいた情報が得られることもあります。

  5. (5)金融庁の金融サービス利用者相談室

    金融庁では、相談者から金融機関とのトラブルの内容を聞き、個別にアドバイスを行う相談室を設けています。なおこの相談室も消費生活センターと同様、事態の解決の代理をしてくれるわけではありません。

5、弁護士に依頼する場合の具体的な流れ

相談窓口として弁護士を選んだ場合、具体的にどのようなプロセスで手続きが進むのか、一般的なケースを例に時系列で解説します。

  1. (1)ステップ1|証拠の収集(相談前に行うこと)

    弁護士が返金の可能性を検討するため、以下のものをできるだけ集めておいてください。
    なお、証拠の収集方法のアドバイスを受けたい場合は、すべてがそろわない段階で次のステップへ進んでも問題ありません。

    • やり取りの履歴
      LINE、メール、SNSのDMの全履歴(スクリーンショットや可能であればトーク履歴の書き出しデータ)
    • 振り込み明細・通帳のコピー
      いつ、誰の、どの口座にいくら振り込んだかが分かる資料
    • 勧誘時の資料
      配布されたレジュメ、投資サイトのキャプチャ、動画、音声録音
    • 相手方の情報
      住所、氏名、電話番号、車のナンバーなど、ささいなメモでも構いません
  2. (2)ステップ2|相談の予約と面談

    電話やホームページの専用フォームから相談日時を予約します。

    当日は収集した証拠を持参し、これまでの経緯を包み隠さずに話してください。
    弁護士は守秘義務に基づき、あなたの情報を厳重に守りますので、安心してすべてを打ち明けましょう。

  3. (3)ステップ3|委任契約と活動開始

    弁護士から返金が受けられる可能性や費用の説明を受け、方針に納得できれば委任契約を結びます。
    契約後、弁護士は以下のような活動をはじめます。

    ① 相手方の特定
    詐欺を行っている自覚がある組織は、偽名や架空の名称を用いているケースがほとんどです。
    弁護士に認められた権限を使い、取引記録や送金先の口座情報、通信履歴などをもとに、相手の所在や実態を調査します。

    ② 内容証明郵便の送付
    相手方の住所・氏名が判明した場合、弁護士名義の書面(内容証明郵便)を送付し、法的根拠に基づいた請求を行います。

    ③ 交渉・調停・裁判
    相手方が話し合いに応じれば示談交渉を行い、応じない場合は訴訟などの法的手続へ移行します。

    ④ 刑事告訴
    相手方の行為が詐欺罪などの犯罪に該当すると弁護士が判断した場合、警察に対して犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求める「告訴状」を作成・提出します。
    警察が捜査を開始した場合、返金交渉において加害者側へ強い心理的圧力をかけられることもあります。
    刑事告訴をする場合、一般的には別途契約が必要になるケースがほとんどです。告訴を検討している場合は、弁護士との面談の際にお伝えください。
  4. (4)ステップ4|委任後に行うこと

    依頼後は、弁護士から進捗(しんちょく)状況の報告が定期的に入ります。

    相手方から直接連絡が来ることもありますが、その際は「すべて弁護士に任せている」とだけ伝えて交渉は拒否し、すぐに弁護士へ連絡してください。
    また、追加で証拠が見つかった場合には、速やかに弁護士と共有してください。

    投資詐欺の被害において、泣き寝入りという選択は、被害金が戻ってくる可能性がなくなるばかりか、二次被害など事態の悪化をもたらす可能性もあります。
    少しでも被害回復の可能性を残すためには、客観的な証拠の収集と迅速な対処が不可欠です。

    ベリーベスト法律事務所では、投資詐欺など詐欺被害に関するご相談を承っております。
    まずは一度、現在の状況をお聞かせください。

    お手元にある証拠から、どのような法的手段が最適か、専門的な視点でアドバイスいたします。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
消費者トラブルへの知見が豊富な消費者問題専門チームの弁護士が問題の解決に取り組みます。
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