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詐欺で相手を訴えることはできる? 訴えるためには何が必要?
詐欺の被害に遭ってしまい、相手を訴えたいと考えている方はいらっしゃいませんか。「詐欺で訴える」とは一般に、「警察に詐欺の被害届を出すこと」と「被害金の返金を求めて裁判(訴訟)を起こす」ことのいずれかを指します。前者は刑事上の手続き、後者は民事上の手続きで、それぞれ必要な準備が異なります。弁護士のサポートを受けながら、十分な準備を整えたうえでだましてきた相手を訴えましょう。
本記事では、詐欺で相手を訴えるために必要なことや、詐欺で訴える際の相談窓口などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
出典:「検察統計(2024年) 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」(e-Stat 政府統計の総合窓口)
1、詐欺で刑事上の責任を問うには?
詐欺の加害者の処罰を求めるためには、警察に被害届を提出しましょう。被害届を提出する際には、詐欺罪の構成要件(成立要件)を踏まえた証拠を提出すると、警察に捜査を開始してもらえる可能性が高まります。
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(1)詐欺罪の構成要件(成立要件)
詐欺罪は、以下の要件をすべて満たしている場合に成立します。なお、刑法246条1項は財物の交付、2項は財産上の利益の取得について定めています。
- ① 欺罔行為(=人をだます行為)をした
- ② ①の行為によって、被害者が錯誤(=事実を誤って認識している状態)に陥った
- ③ ②の錯誤によって、被害者が犯人に財物を交付し、または犯人もしくは第三者に財産上の利益を提供した
- ④ ③の被害者の行為によって、被害者から犯人に財物が移転し、または被害者から犯人もしくは第三者に財産上の利益が移転した
たとえば「本物のブランド品」であると称して、粗悪な偽物を買うように勧誘する行為は、被害者に対する欺罔行為に当たります(①)。
その勧誘に被害者がだまされ、偽物を本物であると勘違いした状態で(②)、その代金を犯人に対して支払ったとします(③④)。
この場合、上記4つの要件をすべて満たしているので詐欺(既遂)罪が成立します。
なお、詐欺罪は未遂でも処罰の対象となります(刑法第250条)。
被害者に対して欺罔行為(①)を行い、実行の着手が認められれば、結果的に被害者がだまされなかった場合や、財物を入手できなかった場合などにも詐欺未遂罪が成立します。 -
(2)詐欺罪の被害届を出すメリット
詐欺罪の被害届を提出すると、警察に詐欺被害の事実を知らせることができます。
それをきっかけに捜査が行われて、検察によって犯人が起訴され、刑事罰が科される可能性があります。
犯人の処罰を求めたいなら、詐欺事件として被害届を提出すべきです。もっとも、被害届を提出したからといって、警察に捜査の義務が生じる訳ではありません。
また、犯人に対して取り調べなどの捜査が行われることになれば、犯人が示談金の支払いに応じる可能性が出てきます。示談が成立すれば重い刑事処分を回避しやすくなり、犯人にとってもメリットがあるからです。
被害金の返金請求は民事上の手続きによって行いますが、それとは別に警察へ被害届を提出することは、一般的には返金請求との関係でもプラスに働くと考えられます。
2、詐欺で民事上の責任を問うには?
詐欺によってだまし取られたお金を返してもらうには、詐欺を理由に契約を取り消すことが一つの方法です。
そのほか、債務不履行によって契約を解除する方法や、消費者契約法違反によって契約を取り消す方法なども考えられます。
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(1)詐欺を理由に返金を求めるための要件
相手方にだまされて契約を締結したときは「詐欺」にあたるため、その契約の取り消しができます(民法第96条第1項)。
民法上の詐欺が成立するのは、以下の要件をすべて満たしている場合です。- ① 欺罔行為(=人をだます行為)をした
- ② ①の行為によって、被害者が錯誤(=事実を誤って認識している状態)に陥った
- ③ ②の錯誤によって、被害者が意思表示をした
たとえば、事業者が「ビジネスの確実な成功を約束する」などと言って、定期的にコンサルティングを受けられるサービスを利用するよう勧誘したケースを考えます。
実際には、最初にまとめてお金を支払わせた後、まともなコンサルティングを一切行うことなく、そのお金を持ち逃げするつもりだったとします。この場合、事業者は欺罔行為をしたことになります(①)。
事業者の欺罔行為によって、被害者は充実したコンサルティングを受けられると勘違いし(②)、事業者との間でコンサルティング契約を締結したとします(③)。
この場合、上記3つの要件をすべて満たすので、被害者は詐欺によってコンサルティング契約を取り消すことができます。すでにコンサルティング報酬を支払っていた場合は、事業者に対してその報酬を返すよう請求できます。 -
(2)詐欺以外の理由で返金を求めることができるケース
事業者に対して返金を請求する際には、詐欺だけでなく、以下の理由によって契約を解除しまたは取り消せることがあります。
① 債務不履行に基づく解除
事業者が契約に定められた義務を果たさない場合は、債務不履行に基づいて契約を解除できます。
② 消費者契約法違反による取り消し
真実でないことを告げる、消費者にとって不利益な事実を告げない、不安をあおる勧誘をするなど、事業者によって不適切な勧誘がなされた場合には、消費者契約法違反によって契約を取り消すことができます。
詐欺による取り消しと同様に、上記の方法によって契約を解除しまたは取り消した場合も、事業者に対して支払ったお金を返すよう請求することができます。
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(3)詐欺でだまし取られたお金の返金を求める手続き
詐欺でだまし取られたお金を返してもらうためには、まず相手に内容証明郵便を送付して、期限を示して返金を求めるのが一般的です。相手が返金に応じないなら、裁判所に訴訟を提起して強制的な回収を目指しましょう。
被害金が60万円以下であれば「少額訴訟」を起こすことも選択肢の一つです。少額訴訟は原則として1日で完了し、弁護士のサポートを受けることなく自力で手続きを進めることができます。
しかし、相手方が通常訴訟への移行を申し出れば、通常訴訟となってしまいますし、少額訴訟であっても強制執行の困難は変わらずありますので、弁護士のサポートを受ける方が確実でしょう。
参考:「少額訴訟」(裁判所)
これまで解説したように、詐欺による被害を回復するための手続きには、刑事・民事の両方があります。選択する方法によって必要な準備や手続きの流れが異なるので、判断に迷ったら次の項目で紹介する窓口へ相談してください。
3、詐欺で訴える場合の主な相談窓口
詐欺の被害者から相談を受け付けている窓口としては、警察・弁護士・消費生活センターなどがあります。
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(1)警察|被害届の提出
警察は、犯罪(刑事事件)の捜査を行っています。詐欺の犯人の処罰を求めたい場合や犯人からご自身の心身に危害を加えられる恐れがある時は、警察へ被害届を提出しましょう。
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(2)弁護士|被害届の提出や返金請求のサポート
弁護士は、詐欺被害者のために総合的なサポートを行っています。被害回復のために何をすべきか迷ったら、弁護士にご相談ください。
たとえば警察に被害届を提出する場合には、事前の証拠収集や被害届の作成などを弁護士がサポートします。
被害金の返金を求める際には、内容証明郵便の送付や和解交渉、訴訟などの手続きを弁護士が全面的に代行します。
弁護士の特徴は、被害者の代理人として具体的な対応を迅速に行う点です。経験を積んだ弁護士が関与すれば、犯人が処罰されることや、被害金を回収できることなどの適切な対応が期待できます。ただし返金が確約されているわけではありませんので、その点ご注意ください。
また、弁護士への相談・依頼は多くの事務所で有料です。当事務所でも相談料や依頼料をいただいておりますので、その点もご留意ください。 -
(3)消費生活センター|対処法についての一般的なアドバイス
消費生活センターは全国に設置されており、事業者とのトラブルに巻き込まれた消費者からの相談を受け付けています。詐欺の被害についても相談でき、対処法についての一般的なアドバイスを受けることができます。
窓口での相談のほか、消費者ホットライン(188)を通じた電話相談も可能です。詐欺被害を回復するための情報を得たい場合は、入り口として消費生活センターに相談することが選択肢のひとつとなります。
ただし消費生活センターは、被害者の代理人として具体的に何か動いてくれるわけではありません。被害回復に向けた対応を任せたいなら、弁護士に相談することをおすすめします。
4、詐欺で訴えるために必要な証拠は?
詐欺について警察に被害届を提出する場合や、詐欺業者に対して返金を請求する場合には、被害の事実を示す証拠をできる限り確保することが大切です。
たとえば以下のような証拠をそろえておくと、犯人が摘発される可能性や、返金請求が成功する可能性が高まります。
- 相手がうそをついているメッセージの記録(メール、チャットなど)
- 被害金の振り込み記録
- 相手と締結した契約書
どのような証拠が有力となるかは、詐欺の内容や経緯などによって異なります。弁護士と協力しながら、有力な証拠をできる限り集めましょう。
5、まとめ
詐欺の被害者が相手を訴えたいときは、警察に被害届を提出する方法と、返金を請求する訴訟(裁判)を起こす方法の2通りがあります。
被害回復の可能性が高い方法を選択することが大切ですが、どのようなアプローチが適しているかは状況によって異なります。弁護士などのアドバイスを受けながら、被害回復に向けた対応を検討してください。
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