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高額なセミナー契約を後悔! 契約をやめて返金は可能?
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)しかし、実際には、契約の方法や内容に問題がある場合、または法律上の制度を利用できる場合には返金を求められる可能性があります。契約書の記載や勧誘の仕方によっては、特定商取引法や消費者契約法、民法の規定を根拠に返金請求できるケースもあるのです。
本記事では、高額セミナー契約の返金可否を左右するポイントや相談先、返金請求の具体的な流れをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、高額セミナーの契約をやめたい! 返金の可能性はある? 泣き寝入り?
「高額なセミナーに参加したものの、内容に納得できない」「成果が得られなかったので返金してほしい」と思う方は少なくありませんが、「契約した以上、返金は無理だろう」と諦めてしまう方も多いのが現実です。
しかし、実際には、以下のような場合には返金の可能性があります。
- 契約条項に「解約や返金」に関する規定がある
契約内容に従って返金を求められる - 勧誘方法や契約内容に法律違反がある
違法性を根拠に契約を取り消せる可能性がある - クーリングオフの条件を満たす
契約から一定期間内であれば無条件で解約可能
つまり「泣き寝入りしかない」ということはありません。大切なのは、自分のケースがどのパターンに当てはまるか確認することです。
具体的にどのような場合に返金請求ができるのかは、3章で法的根拠とともに詳しく解説します。
2、高額セミナー返金を相談できる場所はどこ?
返金を求める際、いきなり業者に強く要求するのではなく、まずは証拠を残すことが重要です。メールやLINEのやり取り、振り込み明細、セミナーのパンフレットや契約書などを保管しておきましょう。
そのうえで早期に第三者に相談することが重要です。高額セミナー返金を相談できる場所としては、以下のようなところがあります。
| 相談先 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 消費生活センター | 全国の消費者センターで無料相談が可能。業者に指導や助言をしてくれる場合もある。 | 契約内容や勧誘方法に不安があるとき |
| 警察 | 詐欺や脅迫の要素がある場合に対応。刑事事件として捜査される可能性もある。 | 「だまされた」「脅された」といった明らかな違法性がある場合、心身に危害を加えられそうな場合 |
| 弁護士 | 契約書や勧誘状況を踏まえ、返金請求の可否を判断。内容証明の送付や訴訟代理など、実際の手続きを代行可能。 | 本格的に返金を求めたいとき、交渉や訴訟を視野に入れる場合 |
| 金融機関 | 振り込め詐欺救済法に基づき、詐欺行為が行われた口座を凍結する | 高額セミナーの代金を銀行振り込みした場合 |
3、【ケース別】高額セミナーの返金請求できる法的根拠とは
1章で触れたように、高額セミナーを契約した場合でも返金請求できる可能性があります。以下では、実際にどのような法的根拠に基づいて返金請求ができるのかを、典型例を挙げながら説明します。
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(1)特定商取引法のクーリングオフ
特定商取引法は、消費者が冷静に判断できない状況で契約を結ばされることを防ぐため、一定の取引について「クーリングオフ制度」を認めています。
たとえば、自宅やカフェ、ホテルのロビーなど、事業者の営業所以外の場所で勧誘されてセミナー契約を結んだ場合には、契約から8日以内であれば無条件で解約でき、支払い済みの代金も全額返金される可能性があります。
また、事業者が契約書面を交付していない、または書面に不備がある場合には、クーリングオフ期間が進行していないと判断され、8日を過ぎても解約が可能となるケースもあります。
受講を一部始めてしまった場合でも、クーリングオフが成立すれば返金対象となります。
重要なのは、契約時の場所や契約書面の有無を確認し、早めに行動することです。 -
(2)消費者契約法の取り消し
消費者契約法は、事業者と消費者の情報格差を是正し、不当な契約から消費者を守るための法律です。
たとえば、「必ず稼げる」「100%成功できる」といった断定的な説明を受けた場合や、セミナー受講に伴う追加費用やリスクについてまったく説明を受けなかった場合には、不実告知や重要事項の不告知にあたり、契約を取り消せる可能性があります。
契約の取り消しが認められれば、支払った費用を返金請求することができます。
なお、消費者契約法の取り消しについても期間制限があり、誤認に気付いたときや困惑状態を脱したときから1年以内または契約締結から5年以内に権利行使をしなければなりません。時効期間内でも契約からあまりに時間がたってしまうと、事実関係を立証することが難しくなるため、できるだけ早期に行動することが重要です。
勧誘時の録音や広告チラシ、LINEやメールでのやり取りなどは証拠となるため、必ず保存しておきましょう。 -
(3)民法の詐欺・錯誤による取り消し
民法でも、契約が詐欺や錯誤によって成立した場合には、取り消すことが認められています。
たとえば、セミナー主催者が実際には存在しない成功事例を提示したり、架空の著名人との関係をほのめかしたりして契約を結ばせた場合は「詐欺」にあたり、契約を取り消して返金を求めることが可能です。また、「返金保証がある」と虚偽の説明を受けたにもかかわらず実際には保証制度が存在しなかったケースも詐欺に該当し得ます。
一方、事業者に悪意がなくても、消費者が契約の重要な点を誤解して契約した場合には「錯誤」として取り消しを主張できることがあります。
詐欺や錯誤が認められれば、契約を取り消して返金請求が可能ですので、証拠として、契約時の資料や、やり取りの記録を残しておくことが重要です。 -
(4)振り込め詐欺救済法による返金
振り込め詐欺救済法では、金融機関が詐欺に使われた口座の利用を停止し、口座に残ったお金を詐欺の被害者で分けることが認められています。ただし、お金をどこかに移されてしまえば、この方法は使えません。詐欺かもしれないと思ったら、なるべく早く申請することが大切です。
詐欺の疑いがあるセミナーの代金を金融口座に振り込んだ場合には、すばやく詐欺の疑いがあるという証拠を揃えて金融機関に申請をしましょう。申請を受けた金融機関は、その口座が詐欺に使われているかどうか調査します。調査の結果、その口座が犯罪に使われていると認定されれば、口座の利用を止めてくれます。口座にお金が残っていれば、その後手続きを経て被害者にお金が分配されます。
4、返金請求は実際どんな手続きを踏む?
高額セミナーの返金請求をお考えの方は、焦って自分で対応するのではなく、専門家である弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。弁護士は、以下のような流れで業者に対する返金請求の手続きを進めます。
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(1)内容証明郵便で返金を請求
まずは弁護士が代理人として、相手方に内容証明郵便を送付します。
ここでは「契約を取り消す理由」や「返金を求める根拠」を明確に示し、法的根拠に基づいて返金を請求します。内容証明郵便は、裁判になった際の証拠にもなるため、口頭での抗議よりも効果的です。弁護士が代理人名義で送付することで、事業者も法的リスクを意識するため、任意で返金に応じる可能性も高くなります。 -
(2)相手方との協議
内容証明を送った後は、相手方と任意の協議を行います。
この段階でセミナー業者が「返金に応じる」「一部返金で和解する」など歩み寄るケースも少なくありません。弁護士が間に入ることで、消費者自身が直接交渉するよりもスムーズに進む傾向があります。
ここで合意が成立すれば、裁判など大掛かりな手続きに進まず解決できる可能性が高いです。 -
(3)交渉に応じなければ調停や訴訟
相手が返金に応じない場合は、民事調停や訴訟の手続きに進みます。
調停では裁判官や調停委員が間に入り、当事者同士が話し合うことで解決を目指します。また、訴訟になれば判決によって返金の可否が決まります。
法的手続きは時間と労力を要しますが、判決が確定すれば強制執行により返金を実現できる可能性が高まります。 -
(4)(カード決済の場合)決済代行会社・カード会社に連絡
高額セミナーの代金をクレジットカード払いにした場合には、決済代行会社やカード会社に対して連絡をすれば支払いが止まる可能性があります。
カード会社には、商品やサービスが提供されない、または不十分な場合などのトラブルが発生したときに、事業者とのトラブルが解決するまでの間、支払いを一時的に停止できる仕組みがあります。
ただし、手続きには期限があるため、速やかにカード会社へ連絡し、必要書類をそろえることが重要です。 -
(5)犯罪の疑いがあるときは警察に告訴
セミナー業者の勧誘方法や契約内容が悪質で、詐欺罪や脅迫罪に該当する疑いがある場合には、警察に告訴を行うことも検討するべきです。
刑事事件として扱われると、業者の刑事責任が追及されますので、自身の刑事罰を軽くするために自主的な返金に応じる可能性もあります。
ただし、警察は、被害回復には協力してくれませんので、民事手続きと並行して進めるのが一般的です。
5、まとめ
高額セミナーの契約は「一度サインしたからもう諦めるしかない」と考えがちですが、実際には返金を求められるケースが存在します。特定の取引に該当すれば特定商取引法のクーリングオフ、誇大広告やリスク説明の欠如があれば消費者契約法による取り消し、虚偽説明や誤解による契約であれば民法の詐欺・錯誤を根拠に解約が可能です。
返金請求は内容証明や交渉、調停・訴訟、カード会社への連絡など多様な手段があり、状況に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。「泣き寝入りするしかない」と思わず、まずは契約内容を確認し、消費生活センターや弁護士、警察に相談することをおすすめします。
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