弁護士コラム
耐震工事
詐欺
2025年10月08日
耐震工事
詐欺

家族が耐震工事詐欺にあってしまった場合にできることとは

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
家族が耐震工事詐欺にあってしまった場合にできることとは
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
家族が「耐震工事をしなければ危険です」などと不安をあおられ、思わず高額な契約を結んでしまった。

このような耐震工事詐欺は、災害の不安や高齢者の判断力の低下を巧みに狙って行われる悪質な手口です。万が一、家族が詐欺に遭ってしまったかもしれないと感じた場合、どのように対処すべきなのでしょうか。

今回は、耐震工事詐欺の典型的な手口や相談窓口、法的な対応方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、耐震工事詐欺の手口とは

耐震工事詐欺は、実際には耐震工事を行う必要がないのに、うそや大げさな説明をして耐震工事が必要であるように誤解させ、契約を結ばせるもので、法制度や災害への不安を巧みに利用した巧妙な手口で行われます。以下では、耐震工事詐欺の手口をいくつかご紹介します。

・耐震改修促進法を悪用した手口
「自治体の補助金が出る今だけのチャンス」「国の法律により耐震工事が義務化された」といった、耐震改修促進法に便乗する形で不安をあおる手口です。
実際には補助金の申請資格がなかったり、法律上義務化されていないケースであるにもかかわらず、虚偽の説明で高額な契約を結ばせます

・災害を悪用した手口
地震や大雨などの自然災害発生後、「今すぐ耐震補強しないと危険」などと持ちかけ、急を要するように装って契約を迫る手口です。

・無償点検を装った手口
「無料で耐震診断をします」と言って自宅に上がり込み、不具合を誇張して危機感をあおり、契約を迫る手口です。

・実在する企業名をかたるなりすましの手口
「◯◯建設の関連会社です」「◯◯市の登録業者です」などと偽って、有名企業や自治体の名前を利用する手口です。

2、「耐震工事詐欺かも?」と思った場合の相談窓口

家族から聞いた話が、第1章で解説した手口を思い起こさせるようなものであれば、詐欺かもしれません。契約内容が不安な場合には、すぐに以下の相談窓口を利用してください。

  1. (1)消費者生活センターや住まいるダイヤル

    お住まいの地域の消費生活センターでは、訪問販売やリフォームトラブルに関する相談を受け付けています。消費生活に関する専門知識を有する相談員が対応し、問題解決に向けたアドバイスや情報提供を行っています。

    また、国土交通省が所管する「住まいるダイヤル」も、住宅工事全般に関する無料相談が可能です。住宅に関する広い知識を有する建築士の資格を持つ相談員が、電話相談に対応していますので、専門的なアドバイスを受けることができるでしょう。

  2. (2)警察

    「詐欺の疑いがある」「工事もせずに金を持ち逃げされた」などの場合には、詐欺罪にあたる可能性もあるため、警察にも相談しましょう。
    詐欺罪の疑いがある事案であれば、警察が捜査を開始し、違法業者の摘発に向けて動いてくれます。

    ただし、警察への相談は、違法業者の処罰を目的とするものです。だまし取られたお金を取り戻すことはできません。耐震工事詐欺でお金をだまし取られてしまったときは、刑事だけではなく民事事件としても対応が必要になります。

  3. (3)弁護士

    契約の取り消しや損害賠償請求など法的な対応を検討する場合には、弁護士への相談が有効です。

    弁護士であれば法的観点から実際の契約が詐欺にあたるかどうかを判断できます。
    耐震工事詐欺であれば事業者に対して、契約の解除・取り消し、損害賠償請求などを行い、また詐欺とまではいえない場合でも、可能であればクーリングオフで契約を解除します

    ご本人が事業者に連絡をしても取り合ってもらえない場合もありますが、弁護士であれば、事業者も真剣に対応することも多く、結果、被害回復できる可能性が高まります

3、耐震工事詐欺はクーリングオフできるのか

耐震工事詐欺のうち、一定の条件を満たすものについてはクーリングオフによって契約を解除できる可能性があります。

  1. (1)耐震工事詐欺でクーリングオフが可能なケース

    クーリングオフとは、特定商取引法などで定められた一定の取引類型、一定の期間内であれば契約解除ができ、初めから契約を結ばなかったのと同じ状態に戻すことができる制度です。事業者が消費者を驚かせたり、不安にさせたりしたことに乗じて不当な契約を強いることがないよう、消費者を保護することを目的とした制度です。

    以下のような方法で耐震工事契約を結んだ場合には、クーリングオフができます。

    • 訪問販売:事業者が消費者の自宅を直接訪問したり、路上で呼び止めたりして、商品やサービスを販売する方法
    • 電話勧誘販売:事業者が消費者に電話をかけて契約を勧誘し、郵便やFAX、電話、メールなどで消費者の申し込みを受け付ける方法

    いずれも法律上定められた必須事項が記載された契約書面を渡された日から8日以内であれば、クーリングオフが可能です。

  2. (2)クーリングオフの期間を過ぎてしまった場合の対処法

    クーリングオフの期間が過ぎてしまった場合でも、以下のような法的手段により対処できる可能性があります。

    ① 消費者契約法に基づく取り消し
    消費者契約法は、消費者と事業者間の契約に関するルールを定めた法律です。事業者による不当な勧誘や契約内容に関する虚偽の説明などがあった場合、消費者契約法に基づいて契約を取り消すことができます。

    ② 民法による取り消し・解除主張
    事業者による虚偽の説明を信じて、耐震工事契約を結んだ場合、民法上の詐欺にあたりますので、契約を取り消すことができます。
    また、耐震工事契約を結んだにもかかわらず契約どおりに工事が実施されていないような場合には、債務不履行を理由として契約を解除することも可能です。

    ③ 不法行為による損害賠償請求
    事業者による詐欺的な手口により損害が発生した場合、民法709条に基づき損害賠償請求をすることもできます。
    支払い済みのお金だけではなく、中途半端な工事により原状回復が必要になればその費用も請求することができます。

    どの方法を採るべきかは、状況により変わってきます。
    弁護士であれば、最適な解決法がどれか法的な知識を基に判断できますので、早めに相談することをおすすめします。

  3. (3)契約書に不備があるときはいつでもクーリングオフ可能

    契約書が渡されていない場合や、契約書に法律で決められた必須事項(クーリングオフの告知、業者情報など)が欠けている場合は、クーリングオフの期間が進行しません
    この場合、必須事項が記載された書面を渡されて8日を経過するまでであれば、いつでも契約を解除することができます。

    また、事業者が「クーリングオフはできない」とのうその説明をしたり、「解約すると高額な違約金が発生する」など威圧したりして、クーリングオフ妨害があった場合も、その妨害が解消するまではクーリングオフ期間は進行しません
    そのため、妨害状態が解消されてから、再度事業者から法律上決められた必須事項が記載された書面の交付を受けて8日を経過するまで、いつでもクーリングオフが可能です。

4、詐欺被害を防ぐには

耐震工事詐欺は、特に高齢者をターゲットにする場合があります。家族に詐欺被害に遭いやすい高齢のご両親などがいる場合には、以下のような予防策をとることが有効です。

  1. (1)密なコミュニケーションをとる

    小さな不安でも気軽に相談できる信頼関係を日頃から築いておきましょう。

    具体的には、以下のようなコミュニケーションが詐欺被害の予防に有効です。

    • 電話やLINEでのやりとりを普段からしておく
    • 「困ったら必ず相談してね」と普段から伝えておく
    • 気になる郵便物や電話の内容を共有してもらうようにしておく
    • 高額な契約をする場合のルールを決めておく

    ご家庭の事情に合った対策を考えてみましょう。

  2. (2)成年後見制度利用を検討する

    認知症の進行などで判断能力に不安がある場合は、成年後見制度を利用することも検討しましょう。制度の利用で、後見人、保佐人、補助人となった人に、財産管理や契約の取り消しなどの権限が与えられます。
    成年後見制度には、以下3種類があります。

    ① 後見
    自分の行為でどのような法的責任が生じるか、自分の行為が法的にどのような意味を持つのかを理解して判断する能力がほとんど失われている場合に利用される制度です。成年後見人を、裁判所を通じて選びます。
    後見開始後は、日用品の購入などの日常生活に関する行為を除いて、本人がした法律行為は取り消すことができるため、基本的に成年後見人が、財産管理や契約など本人に代わって行い、広範囲にわたって本人をサポートします

    ② 保佐
    上記を判断する能力が著しく不十分な場合に利用される制度です。
    保佐開始後は、日用品の購入などの日常生活に関する行為を除いて、本人が一定の法律行為を行うために保佐人の同意を得なければならず、保佐人は、本人の財産に関する重要な契約などについて同意したり、本人が同意を得ずにした法律行為を取り消したりする権限を持ちます

    ③ 補助
    上記を判断する能力が不十分な場合に利用される制度です。
    補助開始後は、補助を開始する審判で定められた特定の法律行為を本人が行うために補助人の同意を得なければならず、補助人は、本人の特定の法律行為について、同意したり、本人が同意を得ずにした行為を取り消したりする権限を持ちます

    後見人、保佐人、補助人が付くと、不必要な契約の取り消しが可能になることがあります。もし今後が不安であれば、こういった制度も検討してみましょう。

5、まとめ

耐震工事の詐欺に遭ってしまったら、まず思い浮かぶのがクーリングオフかもしれませんが、クーリングオフには条件や期限があります。クーリングオフ可能な期間を経過していたとしても、契約書の不備があった場合などにはクーリングオフできる可能性もあります。まずは第三者に相談して最適な対応方法を見つけましょう。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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