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エステ契約をクーリングオフしたい場合のやり方、相談先、期限を解説
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
エステ契約を結んだのを後悔している場合は、クーリングオフを検討しましょう。クーリングオフができるかどうかや、その方法などが分からない場合には、弁護士にご相談ください。
本記事では、エステ契約のクーリングオフについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
お気軽にご相談ください。
1、エステ契約はクーリングオフの対象
エステの施術を受ける契約は、原則として特定商取引法に定められた「特定継続的役務提供」に当たり、クーリングオフが認められます。
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(1)クーリングオフとは
「クーリングオフ」とは、事業者と契約を結んだ消費者が、原則、ある一定期間については無条件で契約を解除できる制度です。
事業者に言いくるめられたり、よく考えないまま契約を結んでしまったりした消費者に、あらためて考える機会を与えるための制度です。 -
(2)エステ契約は「特定継続的役務提供」|原則としてクーリングオフできる
消費者保護を目的とした特定商取引法では、「特定継続的役務提供」という取引についてクーリングオフを認めています。
「特定継続的役務提供」とは、事業者が長期間にわたって継続的にサービスを提供し、消費者が高額の対価を支払う内容の取引です。政令により、以下の7つのサービスが特定継続的役務と定められています。
特定継続的役務の種類 内容 エステティック 人の皮膚を清潔にし、もしくは美化し、体形を整えたり、減量する施術を行うこと
※美容医療に当たるものを除く美容医療 人の皮膚を清潔にし、もしくは美化し、体形を整え、体重を減らし、または歯を白くするための医学的処置、手術およびその他の治療を行うこと
※美容を目的とするもので、主務省令で定める方法による美容医療に限る
※二重整形・クマとり・豊胸、脂肪吸引は美容医療の対象外語学教室 語学を教えること
※学校等の入学者選抜試験に備えるため、または学校(大学を除く)における教育の補習のために、勉強を教えるものを除く家庭教師 学校等の入学者選抜試験に備えるため、または学校(幼稚園・大学を除く)の補習のために勉強を教えること
※学習塾以外の場所で提供されるものに限る学習塾 入学試験に備えるため、または学校教育の補習のために、学校(幼稚園・大学を除く)の児童・生徒・学生を対象として勉強を教えること
※サービスを提供する事業者が提供場所(教室など)を用意するものに限るパソコン教室 パソコンやワープロ操作に関する知識または技術を教えること 結婚相手紹介サービス 結婚を希望する者へ異性を紹介すること 上記のとおり、エステに関する契約は特定継続的役務提供に当たるため、原則としてクーリングオフをすることができます。
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(3)エステ契約をクーリングオフできないケース
エステに関する契約であっても、以下のいずれかに当たる場合にはクーリングオフができません。
- 契約期間が1か月以下である場合(施術が1回限りである場合を含む)
- 契約金額が総額5万円以下である場合
- クーリングオフの期間が経過した場合
なお、自分の意思でエステサロン等に行ったとしても、それだけを理由にクーリングオフができなくなるわけではありません。
契約期間が1か月を超えていて、契約金額が総額5万円を超えていれば、クーリングオフが認められるケースが多いです。
クーリングオフができるかどうかは、エステ契約に関する事情を総合的に考慮して判断する必要があります。
施術が1回限りか、それとも継続的な施術を予定しているかの判断も、それほど単純ではありません。契約書の規定や広告の内容などをよく確認すべきです。
また、契約全体のクーリングオフが認められないとしても、一部だけのクーリングオフが認められるケースもあります。
エステ契約のクーリングオフを希望している場合は、自分だけで判断や対応をせずに、弁護士へご相談ください。
2、クーリングオフには期間制限があるが、例外もある
クーリングオフには、期間制限が設けられています。消費者がクーリングオフをする際には、事業者に対して期間内に、「クーリングオフします」と通知しなければなりません。
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(1)エステ契約のクーリングオフ期間とその例外
エステ契約を含む特定継続的役務提供のクーリングオフ期間は、契約内容が記載された書面(=契約書面)を受け取った日を含めて8日間とされています。
たとえば7月1日に契約書面を受け取ったら、クーリングオフができるのは7月8日までです。消費者は7月8日までに、事業者に対してクーリングオフ通知を発送する必要があります。
なお、7月8日までにクーリングオフ通知が事業者に届いている必要はありません。到達日が7月9日以降であっても、7月8日までに発送していれば、クーリングオフできます。 -
(2)契約書面をもらっていなければ、いつでもクーリングオフ可能
また、事業者から契約書面をもらっていなければ、クーリングオフ期間は進行しません。
たとえば7月1日にエステサロンに行って、その場で申込用紙を提出して契約を締結したものの、契約書面が交付されなかった場合には、クーリングオフ期間が進行しません。
契約書面が交付されていても、契約書面には書かなければならないことがあり、特定商取引法で詳しく定められています。この書かなければならないことが、全て書かれていない場合は、契約書を交付した(渡した)ことになりません。
実際、書かなければならないことが書かれた契約書面が交付されていないケース(つまり、整っていない契約書しか渡されていないケース)が、かなり多く存在しています。
契約締結日から8日目の7月8日を過ぎたとしても、整った契約書面をもらった日を含めて8日間が経過するまでは、クーリングオフができます。つまり、整った契約書が渡されていない(整っていない契約書しか渡されていない)場合は、昔の契約であっても、エステの施術が完了していても、いつでもクーリングオフができることになります。
契約書が手元にない、クーリングオフできるのか確認したいという場合は、弁護士に相談してみるのも一つです。 -
(3)クーリングオフができなくても、エステ契約は解約できる
クーリングオフができなかったとしても、消費者は以下の方法によってエステ契約を解約できることがあります。
① 契約の取り消し
事業者から不適切な勧誘を受けたことなどを理由に、契約を取り消して返金を求めます。
② 債務不履行解除
事業者が契約に従った施術をしなかったことや、契約上の合意事項に違反したことなどを理由に、契約を解除して返金や損害賠償を請求します。
③ 合意解除
事業者と話し合って合意に至れば、将来に向かって契約を解除します。返金を受けられるかどうかは、事業者との交渉次第です。また、クーリングオフの対象となるエステ契約については、クーリングオフ期間の経過後も、消費者による中途解約が認められています。
ただし、以下の金額に、法定利率が上限の遅延損害金も併せて請求されることがあるので、ご注意ください。(a)エステの施術の提供開始後である場合
すでに受けた施術の対価に相当する額に、以下のうちいずれか低い金額を足した額
・2万円
・未実施の施術に対応する支払い済み料金(=契約残額)の10%
(b)エステの施術の提供開始前である場合
2万円
3、エステ契約のクーリングオフについて、弁護士に相談するメリット
エステ契約のクーリングオフは、郵便等を送ればできるので、自分でも対応できるかもしれません。しかし、エステサロンやエステサロン側が弁護士をつけて、クーリングオフはできないとか、返金できないと反論してくることも多く、対等にやり取りすることは難しい、ということもしばしばでしょう。
そうしたときは、弁護士に相談・依頼すれば、以下のようなメリットがあります。
次々と新しい施術を提案された場合には、クーリングオフの対象となる施術の範囲を見極めなければなりません。複数の施術を組み合わせて受けるプランを契約した場合は、全体のクーリングオフが難しくても、一部だけクーリングオフはできるケースもあります。
弁護士であれば、これらの難しい論点についても適切に判断できます。
・弁護士であれば、返金交渉の代行ができる
正式に弁護士へ依頼すれば、返金請求を代行してもらうこともできます。
エステ契約のクーリングオフを検討しているなら、速やかに弁護士へご相談ください。
4、クーリングオフや中途解約の方法・手続き
エステ契約をクーリングオフする際には、発信の記録が残る方法で、期間内に事業者へ通知を発送しなければなりません。具体的には以下の方法を採りましょう。
① はがきで通知する
はがきの両面をコピーしたうえで、特定記録郵便や簡易書留などによって事業者へ発送します。
② 電磁的方法で通知する
メールやクーリングオフの専用フォームなどから事業者へ通知を発送します。その際、送信したメールや入力済みフォームのスクリーンショットなどを保存しておきましょう。
クーリングオフ通知には、契約を特定するための事項や、返金を請求する旨などを記載します。以下の記載例を参考にしてください。
次の契約を解除します。
契約年月日:○年○月○日
サービス名:(エステのサービスの名称など)
契約金額:○円(総額)
販売会社:(事業者名)
支払った代金○円を返金してください。
○年○月○日
(自分の住所)
(自分の氏名)
中途解約をする場合も、クーリングオフと同様に、はがきやメール等によって事業者へ通知を発送します。
中途解約通知書の記載事項も、クーリングオフ通知とおおむね同じです。ただし前述のとおり、事業者側から一定の損害賠償や違約金を請求されることがあるのでご注意ください。
5、まとめ
エステ契約は原則として「特定継続的役務提供」に当たり、クーリングオフができます。ただし期間制限があるほか、例外や手続きなどの注意すべきポイントが多々あります。
確実にクーリングオフを行いたいなら、弁護士のサポートを受けることも検討しましょう。仮にクーリングオフ期間が過ぎてしまっていても、弁護士にご相談いただければ適切な対処法についてアドバイス可能です。
ベリーベスト法律事務所は、エステ契約のクーリングオフについて無料相談を受け付けております。ぜひ気軽にお問い合わせください。

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