- 消費者問題について弁護士に相談
- 弁護士コラム
- 当選詐欺に遭ってしまった! 相談窓口はどこ? お金は戻ってくる?
当選詐欺に遭ってしまった! 相談窓口はどこ? お金は戻ってくる?
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
このようなメールは、「当選詐欺」と呼ばれる手口の一種であり、賞金や賞品を受け取るために手続きを進めていくと個人情報や決済情報をだまし取られたり、当選金を受け取るために必要と言われてお金を要求されたりすることがありますので注意が必要です。
もし、当選詐欺の被害に遭ってしまいお金を支払ってしまったときは、すぐに消費生活センターや、警察、弁護士に相談するようにしましょう。今回は、当選詐欺に遭ってしまったときの相談窓口や予防法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
お気軽にご相談ください。
1、当選詐欺とは?
当選詐欺とは、実際には応募していないのに懸賞や抽選、宝くじ、キャンペーンなどに当選したとのメッセージが送られてきて、賞品や賞金、当選金の受け取りのための手続き名目で金銭を要求したり、個人情報を入力させたりするという詐欺の手口の一種です。
当選詐欺の手口の一例としては、以下のようなものが挙げられます。
海外の宝くじ会社や宝くじを取り扱っている銀行をかたって「あなたは1等に当選しました」というメールが届き、税金・送金手数料・登録費用などの名目で数万円から数十万円をだまし取られます。
・ギフトカード当選詐欺
有名企業を名乗るSMSやメールで「おめでとうございます!○○ポイント(またはギフトカード○○円分)が当選しました」という通知が届き、URLをクリックすると個人情報の入力ページに誘導されたり、手数料としてお金を支払うよう求められたりします。
昨今は、こうした当選詐欺だけでなく、「キャンペーンで〇万円相当のポイントがもらえるが、そのためには個人情報の入力が必要」という形で情報を聞き出されたり、「投資で儲けが出たが、その利益を引き出すためには税金や手数料として〇万円の振込が必要」などと言葉巧みにお金を支払うように求められたりすることも多発しており、当選詐欺同様に注意が必要です。
なお、当選詐欺で支払ったお金は、法的には取り戻すことが可能なお金であることが大半ですが、だました事業者を特定したり、実際に回収したりするのは困難なため、実際には取り戻すのが難しいケースが多いです。
有名人や有名企業をかたるケースも多発しているため、聞いたことがある人や会社だからと軽信しないことが大切です。
2、当選詐欺に遭ったらどうする?|相談のポイント
「当選詐欺に遭ったかもしれない」と感じたときは、すぐに3章で説明する相談窓口で相談することが大切です。その際は、スムーズに相談をするためにも以下のポイントを押さえておきましょう。
-
(1)メールなど証拠は保存しておく
当選詐欺の手口は、メールやSMSなどのメッセージが主ですので、事業者から送られてきたメールやSMSを印刷する、スクリーンショットを撮るなどして証拠を残しておくようにしてください。お金を振り込んだという場合は、振込をした口座を必ず覚えておく、記録に残しておくようにしましょう。
怖くなってメールを消したり、SNSアカウントなどをあわてて削除したりしてしまうと相手からのメッセージが見られなくなる場合もあります。アカウント削除やメールを削除する前に必ず証拠を保存しておくようにしましょう。 -
(2)起こったことはメモにまとめて相談しやすくしておく
当選詐欺の被害に遭ったときは、相談窓口で詐欺被害に遭った経緯や流れを説明することになりますが、口頭での説明だけでは担当者が正確に事実関係を理解できない可能性があります。
そのため、今後の相談に備え、詐欺被害に遭った経緯や流れなどは、時間の流れに沿ってメモなどでまとめておくようにしましょう。
箇条書き程度のメモであっても、事実関係を整理したメモがあるのとないのとでは、担当者の理解の程度に差がでます。 -
(3)とにかくすぐ相談する
当選詐欺の被害に遭ったと感じたときは、ひとりで悩むのではなく、すぐに消費生活センターや警察、弁護士などに相談するようにしてください。
当選詐欺による被害回復は簡単ではありませんが、時間がたてばたつほど被害金を回収できる可能性がさらに低くなっていきます。
早期に相談をすることで銀行口座の凍結などの手段で被害金を回復できる可能性がありますので、一刻も早く専門家に相談するようにしましょう。
3、当選詐欺を相談できる窓口とは
当選詐欺の被害に遭ったときはできるだけ早く専門家に相談することが大切です。以下では、当選詐欺の相談ができる主な相談窓口を紹介します。
-
(1)警察
当選詐欺によりお金をだまし取られた場合、刑法の詐欺罪が成立しますので、警察に相談し捜査してもらうことが可能です。
ただし、警察の役割は、あくまでも詐欺グループを処罰するための捜査ですので、被害者がだまし取られたお金を取り戻してくれるわけではありません。 -
(2)クレジットカード会社
当選詐欺で、クレジットカード番号を入力してしまった場合、詐欺グループに決済情報が不正利用されるおそれがあります。そのため、すぐクレジットカード会社に連絡し、クレジットカードの利用を止めてもらいましょう。
すでに不正利用されていたとしても、利用規約に従って不正利用された料金の引き落としを止めてもらえる可能性があります。
時間がたってからでは被害が拡大してしまいますので、速やかに連絡をするようにしてください。 -
(3)消費生活センター
当選詐欺などの消費者被害に関する相談は、以下の窓口で相談することもできます。
- 消費者ホットライン:全国どこからでも無料で相談できる電話相談窓口
- 消費生活センターなど:各都道府県や各市区町村での専門の相談員による無料の面談相談窓口
消費者ホットラインを利用すれば、専門の相談員による無料相談を受けられますので、どこに相談すればよいのかわからないという場合には、まずは消費者ホットラインに電話してみるとよいでしょう。
-
(4)弁護士
弁護士は、いろいろな法律問題に対応できる専門家ですので、消費者トラブルの相談にも応じてくれます。
弁護士に相談をすれば法的観点から当選詐欺の解決に向けたアドバイスができるほか、被害者の代理人として相手方との交渉の窓口になれる、警察への被害届の提出をサポートできるなどのメリットがあります。
他の相談窓口では、アドバイスを受けることはできても実際の対応は被害者自身でしなければなりません。自分で対応するのが難しいというときは弁護士に依頼するとよいでしょう。
ただし、弁護士への相談や依頼は、基本的には有料であることが多く、また依頼してもだまされて支払ったお金を取り戻すことは難しいことも多いです。
4、当選詐欺の予防法とは
当選詐欺の被害に遭ってしまうとだまされたお金を取り戻すことは難しいです。そのため、当選詐欺の被害に遭わないように対策することが重要になります。以下では、当選詐欺の予防法をいくつか紹介します。
-
(1)怪しいリンクは開かず無視が基本
「○○キャンペーンであなたが当選しました」「高額賞金が当たりました」などのメールが届いたとしても身に覚えがないなら無視するのが基本的な対策になります。
どうしても気になるならメールのURLからログインするのではなく、公式サイトや公式アプリから情報を確認するようにしましょう。
うっかりリンクを開いてしまった場合は、落ち着いて、何もページ内で操作せず、すぐにページを閉じましょう。 -
(2)閲覧履歴やCookieの削除などを試みる
スマートフォンの画面から「当選しました」という当選通知や詐欺画面が消えないときは、閲覧履歴やCookieの削除を試みるのも有効な対策です。
それでも表示が消えないときはスマートフォンを再起動してみるとよいでしょう。 -
(3)パスワード変更をする
当選詐欺のURLを開いてメールアドレスやパスワードなどの情報を入力してしまったときは、すぐにパスワードの変更を行うようにしましょう。
違うサイトであっても同じメールアドレスやパスワードを登録しているところがあれば、それについても変更しておくのが安心です。 -
(4)セキュリティーソフトを導入し、最新状態を保っておく
当選詐欺を防ぐには、セキュリティーソフトを導入することも有効な対策です。
セキュリティーソフトを導入していれば、違法なフィッシングサイトへのアクセスをブロックしてくれますので、間違ってURLを開いてしまっても当選詐欺の被害に遭う可能性を下げることができます。
詐欺グループはさまざまな手口で消費者をだまそうとしてきますので、セキュリティーソフトを導入した後も、常にソフトを最新の状態に保っておくことが大切です。 -
(5)家族が被害に遭わないようにコミュニケーションをとる
家族が当選詐欺の被害に遭わないようにするには、普段からコミュニケーションをとり、詐欺に関する情報を共有しておくことが大切です。
特に、当選詐欺は情報に疎い高齢者が被害に遭うケースも多いため、高齢の親がスマートフォンを持っている場合は、当選詐欺の事例などを説明するなど、日頃から注意喚起するようにしてください。
5、まとめ
当選詐欺は、「○○キャンペーンであなたが当選しました」「高額賞金が当たりました」などのメッセージを送り、お金や個人情報をだまし取る手口です。
身に覚えのないメール・SMSなどを無視するのが基本ですが、万が一URLを開いて個人情報を入力してしまったというときは、すぐに相談窓口で相談するようにしてください。当選詐欺でだまされたお金を取り戻すのは難しいですが、これ以上被害が拡大することを防ぐことができる場合がありますので、早めに相談することが大切です。

消費者トラブルへの知見が豊富な消費者問題専門チームの弁護士が問題の解決に取り組みます。
マルチ商法や霊感商法、悪徳商法などをはじめとした消費者トラブルでお困りでしたら、ぜひ、お気軽にご相談ください。