弁護士コラム
振り込め詐欺救済法
2025年04月14日
振り込め詐欺救済法

弁護士が解説! 振り込め詐欺救済法で被害回復を目指す方法とポイント

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
弁護士が解説! 振り込め詐欺救済法で被害回復を目指す方法とポイント
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
振り込め詐欺の被害に遭ってしまったときは、「振り込め詐欺救済法」により振り込んでしまったお金を取り戻せるかもしれません。ただし、だまされて振り込んでしまい時間がたってからでは、お金を取り戻すのが難しくなりますので、迅速な行動が重要になります。

「だまされたかもしれない」と感じたときは、すぐに警察や金融機関に相談するようにしましょう。

今回は、振り込め詐欺の被害に遭ったときに振り込め詐欺救済法に基づいて被害回復を目指す方法と注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がお伝えします。
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1、振り込め詐欺に遭ってしまったら、まず警察や金融機関へ連絡を

振り込め詐欺の被害に遭ってしまったら、まずは警察と金融機関への相談が必要です。

  1. (1)警察への相談

    振り込め詐欺の被害に遭ってしまったときは、すぐに最寄りの警察署に連絡して、被害の相談を行うようにしてください。
    具体的な説明を踏まえて、事件性があると判断されれば、被害届が受理され警察による捜査がはじまります。また、金融機関に被害を申し出る際にも、事前に警察に相談をしていればスムーズに被害回復の手続きを進めることができるでしょう

  2. (2)金融機関に連絡する

    警察に相談をした後は、すぐ振込先の金融機関に連絡するようにしてください。

    振り込め詐欺救済法による、被害回復の手続きの詳細は後述しますが、被害回復を受けるには、金融機関への申請が必須です。時間がたてばたつほど被害回復は困難になりますので、すぐ金融機関に連絡することが大切です

    なお、金融機関に申請をする際には、以下のような書類が必要になることがあります。事前に準備しましょう。

    • 本人確認書類(運転免許証など)
    • 振り込め詐欺の被害にあったことがわかる資料(メール、LINEやSNSでのやりとり、通話録音、振り込み明細書など)

    申請を受けた金融機関は、警察からの情報提供なども踏まえ、その口座が本当に振り込め詐欺に使われた口座か調査を開始します。

2、不安であれば、弁護士に相談して手続きサポートを受けることも可能

振り込め詐欺による被害回復を図るには、警察や金融機関への連絡が必須ですが、自分で対応するのが不安だという方は、弁護士に相談してサポートを受けることもできます。
以下では、弁護士に相談する流れや費用、弁護士に相談するメリットなどについて説明します。

  1. (1)振り込め詐欺を弁護士に相談する流れ

    振り込め詐欺の被害を弁護士に相談する一般的な流れは、以下のとおりです。

    ① 法律相談の予約を取る
    弁護士との法律相談は、基本的には予約制になりますので、事前に弁護士事務所に連絡をして、法律相談の予約を取る必要があります。
    振り込め詐欺被害に遭った場合には、迅速な対応が必要になりますので、なるべく早く相談に応じてくれる弁護士を探すとよいでしょう。

    ② 弁護士に振り込め詐欺の相談をする
    法律相談の予約をした日時に事務所を訪ねて、相談をします。
    弁護士との相談は、時間が限られていますので、事前に振り込め詐欺被害に関する資料や証拠(上記の金融機関に申請した際の資料と同じもので構いません。)を準備しておくようにしましょう。また、被害に遭った経緯を時系列順にまとめて、メモしておけば、弁護士に相談内容を理解してもらいやすくなります。

    ③ 方針および費用に納得できたら委任契約を締結する
    相談の結果、弁護士から示された方針や費用に納得ができたら、弁護士と委任契約を締結します。
    委任契約を締結後は、弁護士が事件解決に向けて動きます。

  2. (2)弁護士相談の費用

    弁護士への相談は、基本的には有料になりますので、相談料の支払いが必要です。相談料は、1時間あたり1万1000円(税込)が一般的な相場になります。

    また、弁護士に事件処理を依頼すると着手金が発生し、事件が解決すると報酬金が発生します。着手金や報酬金の金額は、依頼する弁護士によって異なりますので、法律相談の際に確認しましょう。また、これ以外に交通費や事務手数料などもかかってきます。

  3. (3)振り込め詐欺被害を弁護士に依頼するメリット

    振り込め詐欺被害を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

    ① 刑事告訴のサポートができる
    振り込め詐欺被害を弁護士に依頼すると、告訴状の作成や警察とのやり取りといった刑事告訴のサポートをしてもらうことができます。
    刑事告訴が受理されれば、警察には捜査の義務が生じるため、警察はさまざまな理由をつけて告訴の受理を拒むケースもあります。
    弁護士であれば受理されやすい告訴状の記載方法を熟知していますので、弁護士に依頼すれば刑事告訴を受理してもらいやすくなります

    ② 加害者を特定し、直接損害賠償請求できる可能性がある
    振り込め詐欺救済法により被害金を全額回収できればよいですが、それができないときは加害者に対して直接、損害賠償請求をするという手段が考えられます。
    振り込め詐欺の被害に遭った場合、加害者が実名で犯罪行為をしている可能性はほぼありませんので、加害者の実名等の正体を調査する必要があります。そのため、弁護士に依頼すれば確実に被害回復ができるというわけではありません。しかし、加害者に直接損害賠償できる、という選択肢を持つことはできます。

    ③ 凍結された口座から優先回収できる可能性がある
    後述のとおり、振り込め詐欺に使われた口座は凍結されて、被害者に対して分配金が支払われます。しかし、分配金支払手続が始まるまでの間に、凍結口座を(仮)差押するとか、債権者代位訴訟を起こすことなどで、凍結口座から優先的な回収を得ることができる場合があります。

3、振り込め詐欺救済法とは?

振り込め詐欺の被害に遭った場合には、振り込め詐欺救済法(正式には、「振り込め詐欺等の被害者に対する被害回復分配金の支払手続等を定める法律」)により、お金を取り戻せる可能性があります。以下では、この法律にのっとった手続きのやり方や注意点を解説します。

  1. (1)振り込め詐欺救済法とは何か?

    この法律では、振り込め詐欺被害者のお金を取り戻す制度が定められています

    具体的には、この制度のもと、金融機関は振り込め詐欺に使われた口座(被害金が入金された口座)を凍結し、そこから被害者に対して分配金が支払われます

  2. (2)対象となる取引

    この法律の対象となるのは、犯罪行為で振込先となった預金口座です。

    具体的には、

    • オレオレ詐欺
    • 架空請求詐欺
    • 還付金詐欺
    • 融資保証金詐欺
    • 金融商品詐欺

    などで使われた口座が対象です。

    なお、この法律の対象は、預金口座へ振り込まれたお金です。現金を直接渡した、現金を郵便で送ったという場合は、この法律の対象外です。

  3. (3)申請をする際の注意点

    お金を取り戻したいと金融機関に申請する際には、以下の点に注意しましょう。

    ① 全額は戻ってこない可能性がある
    この法律では、対象の預金口座に振り込まれたお金を、被害者たちで分けられると定めています。この分配は、口座に残った預金残高を上限として行われますので、残高が被害金の総額よりも少ない場合には、全額は戻ってきません。

    また、被害者が複数いる場合には、振り込んだ金額に応じて対象口座の預金残高を分けることになります。この場合も全額の返金はされません。

    ② 返金まで90日以上かかる
    分配金の支払いがなされるまでには、後述するように以下の3つのステップを踏まなければなりません。

    • 取引停止措置
    • 預金等債権消滅手続
    • 被害回復分配金支払手続

    これらの手続きがすべて終わるまで、少なくとも150日以上必要です。

    ③ 申込期限がある
    この制度を利用してお金を少しでも取り戻すためには、金融機関の口座凍結後、失権手続き(約60日)をした後のステップである、支払い手続き(約90日)の間に金融機関に申請をしなければなりません。この期限を逃してしまうと、分配金が受け取れませんので、注意しましょう。

4、振り込め詐欺救済法の手続きの流れ

この法律によってお金を取り戻す手続きは、以下の流れで進みます。

  1. (1)取引停止措置を依頼する

    振り込め詐欺に遭ったと思ったら、振込先の金融機関で、お金を送った口座を凍結するよう働きかけてください。

    金融機関は、その口座が犯罪で使われた可能性があると認めると、取引停止措置(口座凍結)を行います。多くの場合、詐欺グループは、被害者からの振り込みがあるとすぐに預金を引き出します。したがって、時間の勝負といえるでしょう。詐欺に気付いたときは、すぐに金融機関に連絡しましょう。

  2. (2)預金等債権消滅手続を踏む

    被害者から申請を受けた金融機関は、「その口座が犯罪に利用されている」と疑う相当な理由があると認めると、その口座について債権消滅手続きを始めます。

    この手続きでは、以下のような口座に関する情報が預金保険機構のホームページに掲載され、名義人や債権者などから権利行使の届け出等がないか確認されます。その期間は約60日以上とされています。

    • その口座がある金融機関、支店、預金の種別、口座番号
    • その口座の名義人氏名、名称
    • その口座に預けられた金額
    • 権利行使の届け出期間、方法
    • 被害者からお金が振り込まれた時期

    権利行使の届け出等がなければ、口座のお金は、被害者に分配されるお金の原資になります。

  3. (3)被害回復分配金支払手続をする

    口座にお金が1000円以上あるときは、続いて被害回復分配金支払手続がはじまります。
    この手続きでは、以下のような口座に関する情報が預金保険機構のホームページに約90日以上掲載されます。

    • その口座がある金融機関、支店、預金の種別、口座番号
    • その口座の名義人氏名、名称
    • その口座に預けられた金額
    • 支払い申請期間、方法
    • 被害者からお金が振り込まれた時期、振込利用犯罪行為の概要

    被害者は、この期間内に金融機関に制度を利用する旨を申請すれば、分配金を受け取れます。

5、まとめ

振り込め詐欺の被害に遭ってしまったかもと思ったら、迷わず警察や金融機関へ相談をするようにしてください。時間がたてばたつほど被害回復は困難になりますので、迅速な対応が重要です。

なお、手続きが難しいと感じたりサポートを受けたいと思った場合は、弁護士へ有料相談をし、代理人として立てることも可能です。
ご自身の被害を少しでも安心できる形で取り戻したいと思ったら、弁護士への相談もご検討ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
消費者トラブルへの知見が豊富な消費者問題専門チームの弁護士が問題の解決に取り組みます。
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