弁護士コラム
18歳からできること
2024年03月12日
18歳からできること

18歳からできることをしっかり理解しよう。トラブルへの対処法も解説

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
18歳からできることをしっかり理解しよう。トラブルへの対処法も解説
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
令和4年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられています。これにより、以前は未成年者であった18歳・19歳の方も成年として、多くのことができるようになりました。

しかし、成年年齢引き下げにより、未成年者取消権などの法律上の保護がなくなったため、18歳や19歳の方が悪質商法の被害に巻き込まれるおそれもあります。これから18歳を迎える新成人の方は、18歳からできること、できないことをしっかりと理解して、トラブルに巻き込まれないよう気を付けて行動することが大切です。

今回は、18歳からできることと、できないこと、トラブルに巻き込まれた場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、18歳からできること・できないこととは

成年年齢の引き下げにより、18歳からどのようなことができるようになるのでしょうか。以下では、18歳からできること、できないことについて説明します。

  1. (1)18歳からできること

    成年年齢の引き下げにより、18歳(成年)になった方は、以下で示すことなどができるようになります。

    • 親の同意なしで、各種契約ができる(クレジットカードをつくる、ローンを組むなど)
    • 10年間有効のパスポートを作る
    • 国家資格を取得する(医師、獣医師、公認会計士など)
    • 結婚(男女ともに18歳から結婚が可能)
    • 性同一性障害の人が、性別の取り扱い変更の審判を受ける

    このなかでも生活に一番身近なのは、「親の同意なしでクレジットカード作成などの契約ができるようになる」ということでしょう。

  2. (2)18歳になってもできないこと

    成年年齢の引き下げにより、18歳(成年)になったとしても、以下のようなことはできませんので注意が必要です。

    • 飲酒
    • 喫煙
    • 公営ギャンブル(競馬、競輪など)に賭ける
    • 養子を迎える
    • 大型、中型自動車免許を取得する

2、何らかの契約トラブルが起こった場合の相談先

18歳からできることとして「(クレジットカード作成などの)契約ができる」ことが挙げられます。しかし、18歳ですぐに高額な契約をすると、社会経験が乏しいことから、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。

そのような契約トラブルに巻き込まれてしまった場合には、以下のような窓口に相談するようにしましょう。
なお、未成年の場合には、保護者と一緒に相談窓口に連絡を取るようにしてください

  1. (1)弁護士

    弁護士は、法律の専門家ですので、契約トラブルに巻き込まれてしまった場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。弁護士に相談することで、契約トラブルの解決に向けたアドバイスをしてもらうことができます。また、ひとりで対応するのが難しい場合には、弁護士に依頼すれば弁護士が代わりに相手との交渉を行ってくれます。

    ただし、弁護士への相談や依頼は、基本的には有料となりますので、費用対効果の観点も踏まえて相談、依頼するかどうかを判断しましょう。

  2. (2)行政窓口

    市区町村役場などの行政窓口では、定期的に法律相談を実施していますので、それを利用するのもおすすめです。弁護士に相談する場合には、有料での相談になりますが、行政の窓口であれば無料で相談できますので、費用負担なく相談したいという場合には、行政窓口の法律相談を利用するとよいでしょう。

    ただし、行政窓口の相談は、1回あたりの相談時間が短いため、十分なアドバイスをもらえない可能性があります。また、あくまでも相談のみの対応になりますので、トラブルの相手との交渉はご自身で行わなければなりません。

  3. (3)警察

    契約トラブルになった相手から脅されるなど恐怖を感じたときは、警察に相談するのも有効な手段となります。

    契約トラブルは、基本的には民事の問題になりますので、警察は介入することはできません。しかし、契約相手から脅されている場合には脅迫罪が、だまされて金銭を交付してしまった場合には詐欺罪が成立する可能性があります。このような犯罪行為に該当する場合には、警察でも対応が可能です。

    ただし、警察は、あくまでも犯罪行為を取り締まるのが目的になりますので、警察に相談したとしても、契約トラブル自体を解決できる(つまりお金が戻ってくる)わけではありません。

3、契約に問題があった場合に使える法的手段とは

契約に問題があった場合には、以下のような法的手段により被害回復を図ることができます。

  1. (1)クーリングオフ制度

    クーリングオフ制度とは、契約を申し込んだり結んでしまったりした場合でも、一定期間内であれば、無条件で契約の申し込みの撤回や解除ができる制度です。消費者が契約後に冷静に考え直す時間を与えるのが、この制度の目的です。

    ただし、クーリングオフができる取引は、法律や約款などに定めがあるものに限られる点に注意が必要です。クーリングオフができる、特定商取引法上の代表的な取引とクーリングオフの期間としては、以下のとおりです。

    • 訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、訪問販売……8日間
    • 連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引……20日間

    なお、通信販売には、クーリングオフ制度の適用はありません

  2. (2)錯誤・詐欺・強迫に基づく取り消し

    契約締結に至る意思表示に瑕疵(かし)がある場合には、民法が規定する錯誤、詐欺、強迫を理由に契約を取り消すことができる可能性があります。

    錯誤とは、簡単にいえば勘違いにより契約をした場合をいい、詐欺とはだまされて契約をした場合をいい、強迫とは脅されて契約をした場合をいいます。

    クーリングオフ期間が経過してしまったとしても、これらの事情がある場合であれば、取り消しの原因となっていた状況が消滅したときから5年間であれば、取消権を行使することができます。

  3. (3)消費者契約法に基づく取り消し

    消費者契約法とは、消費者と事業者との間の消費者契約において、事業者に比べて知識・経験・交渉力等に格差がある消費者を保護することを目的とする法律です。消費者契約法では、事業者からの不当な勧誘により、消費者が誤認・困惑して締結した契約については、後から取り消すことができると定められています。

    消費者契約法により取り消すことができるものとしては、以下のようなものが挙げられます。
    ・重要事項について、事実と違う説明がなされた(不実告知)
    ※重要事項とは、契約を結ぶにあたって重要視される事実のことです。例えば、実際には効果が科学的に証明されていないのに、飲むと健康になる効果が医学的に認められているとうたってサプリメント等を販売したような場合、重要事項について事実と違う説明をしているとみなされます。

    ・将来どうなるか不確実な事項について確実と説明された(断定的判断の提供)
    ※例えば、業者が「この金融商品を購入すれば、絶対に半年後に2倍の利益が出る」と将来どうなるかわからないことを確実と約束した場合、不確実な事項を確実と説明した、とみなされます。

    • 消費者にデメリットのある情報を伝えなかった(不利益事実の不告知)
    • 事業者が、契約するまで消費者の自宅に強引に居座った(不退去)
    • 販売店で消費者が契約するまで強引に引き留められた(退去妨害)
    • 分量や回数などが多すぎる契約だった(過量契約)

    なお、消費者契約法による取消権は、取り消しの原因となっていた状況が無くなった(つまり、業者が家に居座って強引に契約した場合には、業者が家から出ていったとき、引き留めにあった場合には、引き留めが終わったときなどになります)ときから1年間または契約締結から5年間に限り行使することができます。

  4. (4)債務不履行による解除

    契約相手が契約内容に従った債務の履行をしないとき(例えば商品を渡さない、サービスを受けさせないといった場合)は、債務不履行を理由として契約を解除することができます。契約が解除された場合、消費者が支払った商品代金については、全額の返還を求めることができます。

4、借金が増えてしまった場合の法的手段

契約には法的問題がなかったとしても、自身の経済能力を超えた契約をした結果、多額の借金を抱えてしまったという場合には、以下のような対処法が考えられます。

  1. (1)任意整理

    任意整理とは、債権者との交渉により将来利息のカット、遅延損害金の減免、長期分割払いなどの方法により、毎月の借金返済の負担を軽減する方法です。

    任意整理は、自己破産や個人再生のように借金を大幅に減免する効果まではありませんが、任意整理の対象に含める債権者を自由に選択することができますので、保証人に迷惑をかけたくないなどの希望がある場合には、任意整理を選択するとよいでしょう。

  2. (2)自己破産

    自己破産とは、裁判所を利用する債務整理の手段であり、裁判所から免責許可決定を受けることで基本的にはすべての借金をゼロにすることができる方法です。多額の借金を抱えて、返済の見込みもないという場合には、自己破産を選択するとよいでしょう。

    ただし、自己破産をする場合には、一定額以上の資産はすべて手放さなければならないといったデメリットもありますので注意が必要です。

  3. (3)個人再生

    個人再生とは、裁判所を利用する債務整理の手段であり、裁判所から再生計画の認可を受けることで、借金総額を大幅に減額し、減額後の借金を3年~5年で返済していくことができる方法です。

    ただし、個人再生を利用するには継続的な収入があることが条件になりますので、新たに成人になった18歳の方では利用が難しいケースもあります。

5、まとめ

成年年齢の引き下げにより、18歳から親の同意なく、単独で確定的な契約をすることができるようになりました。しかし、18歳になったばかりの方は、知識や経験が乏しいため、悪質商法の被害に巻き込まれるリスクがあります。そのため、契約について何か不安に思ったことがあるならすぐに第三者に相談するようにしましょう。

弁護士であれば、実際の契約トラブルに応じた最適な法的解決方法を提案することができます。また、クーリングオフには期限がありますので、早めにベリーベスト法律事務所までご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
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