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期限切れと言われエステが中途解約できない! 解決法はある?
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
実は、エステ契約にはクーリングオフや中途解約が可能な制度が整備されており、「期限切れ」と言われても解決策がある場合があります。
今回は、エステ契約のクーリングオフや中途解約の仕組み、弁護士にエステのトラブルを相談したほうがいい理由について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
お気軽にご相談ください。
1、エステ契約は本来クーリングオフや中途解約ができる
エステサロンが消費者と契約を結ぶ際には「特定商取引法」という法律を守らなければなりません。この法律が作られた目的は、特に消費者が不利になりやすい契約を結ぶ場合において、法律の力で消費者側を守ることです。
そのため、この法律の条件を満たす契約であれば、契約後であっても『クーリングオフ』や『中途解約』という制度を使って、契約の申込みを撤回したり、契約の解除を行ったりすることができます。
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(1)特定商取引法の規制を受けるエステ契約の条件とは
エステ契約が特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当する場合には、消費者保護の規定が適用されます。
特定継続的役務提供とは、「対象業種で、一定金額以上、一定期間以上サービスを受ける」、長期間、継続的なサービスを提供し、これに高額の対価を支払うことを内容とする取引のことです。エステに限って言えば、以下の条件を満たすものが対象です。- 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うエステであること(美顔、脱毛、痩身、全身美容など)
- 契約金額が5万円を超えていること
- 契約期間が1か月を超えていること
これらの条件を満たすエステ契約であれば、クーリングオフや中途解約が可能です。
また、エステ以外でも対象になるサービスがあります。
美容医療(美容を目的とする特定のものに限られます。)、家庭教師、学習塾、語学やパソコン教室、結婚相手の紹介サービスは、特定商取引法上の特定継続的役務提供として、規制対象となることがあります。 -
(2)クーリングオフの定義や条件
クーリングオフとは、一定期間、特定商取引法上の一定類型の取引であれば、無条件で契約解除ができる制度です。
「特定継続的役務提供」にあたるエステ契約であれば、契約書面をもらってから8日以内であればクーリングオフできます。
ただし、以下のようなケースでは、例外的に、8日を過ぎていてもクーリングオフができる可能性があります。- そもそも契約書をもらっていない
- 契約書に必要な法定記載事項が書かれていない
詳しくは3章の「クーリングオフや中途解約を、弁護士に相談したほうがいい理由」で解説します。
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(3)中途解約の定義や条件、違約金の計算式
クーリングオフ期間を過ぎていても、契約期間中であれば、中途解約ができます。中途解約とは、特定商取引法における特定の契約(特定継続的役務提供や連鎖販売取引など)を将来に向かって解約できる制度です。
エステ契約(特定継続的役務提供に当たるもの)の中途解約の場合、消費者は事業者に、すでに受けたサービスの代金と法律上定められた範囲の違約金を支払う必要があります。その上限は、以下の通りです。- サービスが始まる前に契約解除:2万円が上限
- サービスが始まった後に契約解除:提供されたサービスの代金+(2万円または契約残額の10%相当額のいずれか低い額)
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(4)一緒に何らかの商品を買っている場合はどうなるか
エステ契約では、施術と一緒に化粧品やサプリメントなどの関連商品を買うケースがあります。消費者が本体のエステ契約をクーリングオフ(もしくは中途解約)した場合、一緒に買った関連商品もクーリングオフ(もしくは中途解約)ができます。
エステ契約で「関連商品」に該当するものとしては、以下のようなものが挙げられます。- いわゆる健康食品
- 化粧品、せっけん(医薬品を除く)、入浴剤
- 補正下着類、美顔器、脱毛器
2、期限切れで中途解約できない!? エステ契約の注意点とは
エステ契約のなかには、あえて契約内容を分かりにくくして、消費者に中途解約させないようにするものもあります。特に期限切れを理由に中途解約を拒まれるトラブルの背景には、契約書の構成や表記が消費者に不利な形になっている等の複雑な契約の仕組みがあります。以下で解説します。
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(1)契約期間が有料期間と無料期間に分かれており、有料期間が極端に短くなっている
「6か月通い放題」と言われたのに、契約書をよく見ると「契約期間は1か月だけ、残り5か月は無料サービス」となっているケースがあります。
このような場合、中途解約可能な契約期間(つまり、この場合は1か月)が過ぎてしまうと、中途解約しても返金される対象がゼロになってしまうという問題が起こります。
見かけ上の契約期間と実際の契約期間が違うことを悪用し、「もう中途解約できません」とエステ側が主張するのです。 -
(2)数年通い放題とか何十回も施術できると説明されたのに、契約書にサービス提供期間が数か月と短く設定されている
契約時に「何回でも通える」「回数制限はない」などと説明されても、実際の契約書では契約期間が2か月間のみ、施術回数5回までなどの制限が記載されていることがあります。
この場合、契約期間内であれば中途解約が可能ですが、契約書どおりになると、すでに受けたサービスの対価を契約解除による違約金として支払うことになる可能性があります。
たとえば、たとえば総額75万円で、契約期間が2か月・施術回数5回という契約だった場合、1回あたりの施術単価は15万円と非常に高額です。違約金は、施術1回あたりの単価が計算の基礎になるため、高額な違約金を設定して消費者が解約を諦めるよう仕向けるのです。
3、クーリングオフや中途解約を、弁護士に相談したほうがいい理由
ここまでエステ契約はクーリングオフや中途解約が法的に認められる可能性があること、しかし複雑な契約内容になっていて、期限切れで「中途解約できない」と言われてしまう場合があることを解説しました。
しかし、期限切れと言われても、諦める必要はありません。
この場合、弁護士に相談することで解決できる可能性があります。その理由を以下で解説します。
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(1)お客さまの契約書を確認し、クーリングオフを含めた最適な対処法を提案できるから
エステ契約のクーリングオフ期間は、契約書面を受け取った日から8日以内ですが、実は、以下のようなケースであれば、クーリングオフ期間が経過していてもクーリングオフを主張できます。
- 契約書に法定記載事項が書かれていない
- そもそも契約書面をもらっていない
エステの契約書は、特定商取引法で定められていることを漏れなく載せる必要があります。それがちゃんとできているか、そもそもエステから渡された書類が契約書として法的に有効なのかは、一般の方では判断が難しいため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば、クーリングオフが可能か正確に判断することができ、仮にクーリングオフができないケースであっても、それ以外の方法を使って、トラブル解決を目指すことができます。 -
(2)弁護士はお客さまの代理人となれるから
自分で「クーリングオフをしたい」「中途解約したい」とエステに申し入れても、店舗側から強い態度を取られたり、何も対応してくれなかったりするケースもあります。
この点、弁護士が代理人として交渉を行えば、エステ側も真剣に対応する可能性が高まります。また、消費者が直接対応する必要もなくなり、精神的な負担を大きく軽減できます。
4、弁護士への相談の流れ
「そうはいっても、弁護士に相談するなんてハードルが高い」と感じるほうもいるかもしれません。そこで本章では、弁護士への相談の具体的な流れを説明します。
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(1)法律事務所に相談予約をする
まずは電話やWebフォームから、法律事務所に相談の予約を入れます。24時間対応の受け付けフォームがある事務所も多いです。
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(2)予約した日時に弁護士事務所を訪ねて相談する
予約した日時に、事務所に行って実際に相談します(オンライン相談に対応している事務所もあります)。
契約書などの資料を持参しておくと、より具体的なアドバイスが受けられます。 -
(3)弁護士が問題解決に向けたアドバイスをする
弁護士は「中途解約は本当にできないのか?」「クーリングオフの余地はないか?」など状況に応じて法律的な観点からアドバイスをします。
契約書の内容や事業者側の対応が違法である可能性がある場合は、しっかりと指摘するので、ご自身のトラブル解決の指針にしましょう。 -
(4)自分で対応が難しいときは弁護士に依頼する
自分で解約交渉をするのが不安な場合は、弁護士に交渉や手続きの代理を依頼することもできます。専門家が間に入ることで、エステ側の対応も変わることが多く、スムーズな解決が期待できます。
なお、ベリーベスト法律事務所では、美容クリニックへのクーリングオフの相談を無料で受け付けています。相談だけでも結構ですので、どうぞお気軽にご連絡ください。
5、まとめ
エステ契約に関しては、消費者側が法律の知識を持たないことを逆手に取った「問題ある契約書」を取り交わしているケースがあります。そのため、「中途解約は期限切れでできない」と言われたからといって、必ずしも諦める必要はないのです。
実際には、契約書の不備や、契約時に従業員から勘違いをさせるような説明があれば、法律に基づいて解約・返金請求が可能なケースもあります。事業者の言葉をそのまま信じることなく、まずは弁護士に相談しましょう。

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