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定期縛りなしとは、どんな契約? トラブルに遭った場合の対処法とは
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
定期縛りなしの通信販売についてトラブルが発生した場合は、速やかに弁護士などへ相談しましょう。
本記事では、通信販売における「定期縛りなし」とはどのような契約か、および通信販売のトラブルが発生した場合の対処法や相談窓口などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
お気軽にご相談ください。
1、「定期縛りなし」とはどんな契約? よくあるトラブルを紹介
通信販売で購入した商品について「定期縛りなし」と表示されていた場合は、その意味をきちんと確認することが大切です。
1回限りの購入だと思っていても、実は定期購入になっているケースが多発しているので十分ご注意ください。
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(1)定期縛りなしとは
「定期縛りなし」という言葉は、「いつでも解約できる(最低購入回数がない)定期購入」という意味で用いられることがあります。
しかし、言葉の印象から「定期購入ではなく、1回限り」と解釈する購入者がたくさんいるようです。
1回限りだからと思って購入したものの、何度も代金を請求されてようやく定期購入だったことに気づいたというトラブルが報告されています。 -
(2)定期縛りなしの消費者契約に関してよくあるトラブル
「定期縛りなし」と表示された通販商品には、「特別割引クーポン」などと称して、初回限定のお試し価格が設定されているケースがよくあります。
1回目は安い代金で購入できるものの、2回目以降は金額が跳ね上がる仕組みになっています。
「定期縛りなし」であれば、購入者自ら解約手続きを行えば、2回目以降の高額の請求を受けることはなくなるはずです。
しかし、1回限りの購入だと勘違いして解約手続きを行わない場合、解約手続きを忘れてしまう場合、実は厳しい条件が設定されていて解約できない場合などがあります。
これらのケースでは、購入者は不本意に高額な2回目の代金を請求されてしまいます。
2、定期縛りなしの契約を解約するためには、規約をまず確認して!
「定期縛りなし」の定期購入契約を解約する方法は、販売業者が公表している利用規約や、商品の販売サイトなどに記載されているのが一般的です。記載された手順に従って、速やかに解約手続きを行いましょう。
なお、通信販売についてはクーリングオフが認められていません。
その代わりに、原則として商品の引き渡しを受けた日から起算して8日間に限り、売買契約を解除して商品を返品することができます(特定商取引法第15条の3第1項)。ただしクーリングオフとは異なり、返品に要する費用は購入者の負担となります(同条第2項)。
また、商品を紹介するページと実際に購入を申し込むページにはっきりと「返品不可」などと表示されていた場合は、購入済みの通販商品を返品することはできないのでご注意ください。
3、不当表示に当たる場合は、契約を取り消せることもある
通信販売の商品ページにおいて、販売業者が不当表示をしていた場合には、購入者は売買契約を取り消せる可能性があります。
「定期縛りなし」の表示についても、解約の条件などによっては不当表示に該当することがあります。弁護士などに相談して、売買契約を取り消せるかどうかを検討しましょう。
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(1)通信販売における不当表示のパターン
通信販売について、販売業者が以下の不当表示を行い、購入者がそれを信じ勘違いをしたまま商品を買ったときには、売買契約を取り消すことができます(特定商取引法第15条の4)。
- ① 特定商取引法所定の事項に関する不実の表示
- ② 特定商取引法所定の事項の不表示
- ③ 情報を送信すると購入の申し込みとなることにつき、人を誤認させるような表示
- ④ 特定商取引法所定の事項につき、人を誤認させるような表示
※ 特定商取引法所定の事項とは、以下の事項です。- 商品の分量
- 商品の販売価格
- 商品代金の支払時期、支払方法
- 商品の引渡時期
- 契約申込期間の定めがあるときは、その旨およびその内容
- 契約申し込みの撤回または解除に関する事項
通信販売に関する上記の事項について不実の表示がなされていた場合や、そもそも表示されていなかった場合、誤解を招くような表示がなされていた場合は、購入者は通信販売の売買契約を取り消すことができます。
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(2)不当表示を理由に契約を取り消す方法
販売業者による不当表示を理由に、通信販売の売買契約を取り消す場合は、販売業者に対して内容証明郵便を送って契約を取り消す旨通知して、返金を求めるのがよいでしょう。
ただし、販売業者が解約を認めたり、返金に応じたりするとは限らず、拒否されたり無視されたりすることもあります。
その場合は、訴訟、国民生活センターによるADR(裁判外紛争解決手続)などを通じて返金を求めることになります。
どのような方法で解決を目指すべきかについては、次の項目で紹介する窓口に相談しアドバイスを受けましょう。
4、通信販売に関するトラブルの主な相談窓口
通信販売に関するトラブルを相談できる主な窓口としては、消費生活センター・警察・カード会社・弁護士などが挙げられます。状況に応じて、相談窓口を使い分けましょう。
なお相談の際には、契約画面(最終確認画面)のスクリーンショット、契約書、購入の経緯をまとめたメモなどがあると便利です。
特に、契約画面のスクリーンショットをとることを習慣づけておけば、今後通信販売を利用する際のトラブル対策にもなります。
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(1)消費生活センター
全国に設置されている消費生活センターでは、専門の相談員が消費者からの相談を受け付けています。
通信販売に関するトラブルについても無料で相談できるほか、国民生活センターによるADR(裁判外紛争解決手続)の利用についても案内を受けられます。
消費生活センターに相談するには、各地域の窓口に直接行くか、または消費者ホットライン(188)に電話をかけましょう。 -
(2)警察
通信販売業者の行為が詐欺に当たる場合は、警察に対して詐欺罪の被害届を提出することも考えられます。捜査してもらえば、販売業者の摘発につながるかもしれません。
ただし、通信販売のトラブルについて警察が捜査を行うのは、よほど悪質な行為が疑われる場合に限られます。 -
(3)カード会社
通信販売の購入代金をクレジットカードで決済した後、販売業者との間でトラブルが発生した場合は、速やかにカード会社へ連絡しましょう。
購入者は、クレジットカードで4万円以上の代金の商品を購入し、その代金を2か月以上の期間にわたって支払う場合には、販売業者に対して主張できる取引上の問題をカード会社にも主張できます(=支払停止の抗弁権、割賦販売法第30条の4)。
たとえば、不当表示を理由に売買契約を取り消すことができる場合は、カード会社に対して不当表示があったことを主張し、代金の引き落としを止めてもらうことが可能です。
なお、代金が4万円未満であるとか代金を一括で支払ったというように、支払停止の抗弁権の法律上の要件を満たしていない場合でも、カード会社によっては引き落としを一旦止めて、取引を調査してくれることもありますので、取引に問題があるということをカード会社に連絡してみることが重要です。
代金が引き落とされてしまうと回収が難しくなるので、問題に気づいた段階ですぐにカード会社へ連絡しましょう。 -
(4)弁護士
法律の専門家である弁護士に相談すれば、通信販売に関するトラブルの対処法を具体的にアドバイスしてもらえます。
また弁護士には、法律で定められた事項を守らない通信販売について、販売業者に対する内容証明郵便の送付や返金請求などの対応を依頼できます。
依頼者の代理人として迅速かつ的確に行動してもらえる点が、弁護士に相談することの大きなメリットです。
5、まとめ
「定期縛りなし」は、「いつでも解約できる定期購入」の意味の場合があります。1回限りの購入だと勘違いしないようにご注意ください。
販売業者が広告に不当な表示をしていた場合には、通信販売の売買契約を取り消せる可能性があります。弁護士などのサポートを受けながら返金を目指しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、通信販売のトラブルに関するご相談を随時受け付けております(相談は有料です)。
「定期縛りなし」の商品を購入したところ、思いがけず高額の代金を請求されてお困りの方は、当事務所へのご相談もご検討ください。

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