弁護士コラム
クーリングオフ
2025年03月12日
クーリングオフ

塾の契約をクーリングオフしたい! 可能性はある? やり方は?

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
塾の契約をクーリングオフしたい! 可能性はある? やり方は?
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
子どものために塾の契約をしたものの、さまざまな理由から途中で辞めたくなることもあると思います。塾は、契約期間が長く、費用も高額になるため、契約途中の解約だと解約の可否や解約料でトラブルになるケースもあるでしょう。

このような塾の契約には、クーリングオフが適用できる場合がありますが、実は期間や条件が決まっています。

今回は、塾の契約をクーリングオフする方法とその流れ、期間が過ぎてしまったときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、塾の契約はクーリングオフが可能な場合がある

塾の契約をクーリングオフにより解約することはできるのでしょうか。以下では、その概要と可否について説明します。

  1. (1)クーリングオフとは

    クーリングオフとは、契約の申し込みをした後であっても、一定期間内であれば無条件で契約の撤回または解除をすることができる制度です。

    対象となる主な取引や期間は、特定商取引法により以下のように定められています。


    取引形態 期間
    訪問販売 法定書面を受け取った日を含めて、8日以内
    電話勧誘販売
    特定継続的役務提供
    業務提供誘引販売取引 法定書面を受け取った日を含めて、20日以内
    連鎖販売取引
  2. (2)塾の契約が特定継続的役務提供に該当すれば、クーリングオフ可能

    塾の契約が特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当すれば、クーリングオフが可能です。

    特定継続的役務提供とは、政令で定める「特定継続的役務」を、一定期間を超える期間にわたり、一定金額を超える対価を受け取って提供することを指します。現在、以下の7役務が特定継続的役務として指定されています。


    特定継続的役務提供

    学習塾については、以下の2つの条件を満たした場合、特定商取引法の特定継続的役務提供に該当します。

    • 契約期間が2か月を超えていること
    • 契約金の総額(入学金や受講料、教材費や関連商品)が5万円を超えていること

    この場合、法律で決められた書面を受け取った日を含めて8日以内に手続きをすれば、クーリングオフ可能です。

  3. (3)塾の場合、月謝制や短期講習は対象外

    月謝制の塾では、1か月単位で契約更新されるのが一般的ですので、このような場合には、政令で定める契約期間を満たしません。よって、原則としてクーリングオフの適用外です。また、同様の理由から、短期講習など契約期間が2か月以下の場合も、クーリングオフできません。

    ただし、月謝制の塾であっても、教材の販売をしており、契約の実態として2か月を超えて契約を続けることが必要な場合には、クーリングオフが可能なこともあります

  4. (4)クーリングオフを考える前の注意点

    クーリングオフには期限があることは説明しましたが、契約書を取り交わしていなかったり、契約書に不備があれば、その期間は進行しません。
    また、子どもが勝手に契約してしまった場合については、未成年取消権という権利が使える可能性があります。

    まずは契約書を受け取っているか、契約書に法律上必要な事項は書かれているのか、確認することをおすすめします。後述しますが、契約書が有効なものであるかどうか弁護士であれば判断可能です。ご相談は有料ですが、弁護士に相談するのも方法のひとつであることを頭に置いておきましょう。

2、クーリングオフのやり方と注意点を解説

塾の契約が特定商取引法上の「特定継続的役務提供」に該当する場合、クーリングオフが可能です。基本的には自分で手続きすることができます。以下では、そのやり方と注意点を説明します。

  1. (1)クーリングオフのやり方

    クーリングオフの方法には、はがき等の書面による方法と、メールなどの電磁的記録による方法の2種類があります。以下では、それぞれのやり方を説明します。

    ① 書面によるクーリングオフの方法
    書面により手続きをする場合は、以下の事項を書面に記載し、塾を経営する事業者に送付します。

    • 契約年月日
    • 商品名
    • 契約金額
    • 販売者
    • 契約を解除する旨
    • 作成年月日
    • 消費者の住所、氏名

    はがきを送付する場合には、必ず両面コピーをして、特定記録郵便または簡易書留を利用して送付するようにしてください

    ② 電磁的記録によるクーリングオフの方法
    電磁的記録によるクーリングオフとは、メール、SNS、FAX、ウェブ上の専用フォームなどを利用する方法です。まずは、契約書に電磁的記録によるクーリングオフの方法や通知先が記載されているかどうか、確認するようにしてください。

    専用フォームがあれば、それを利用できますが、専用フォームがない場合には、①と同様の情報を記載したメールを送ることでも、手続き可能です。

    なお、書面による方法と同様、クーリングオフをした証拠を残すために、問い合わせしたことがわかる画面をスクリーンショットで保存したり、メールのバックアップを取っておくと安心です。

  2. (2)クーリングオフ後の注意点

    上記の方法でクーリングオフをした後は、以下の点に注意が必要です。

    ① 書類を5年間保管する
    クーリングオフは、その通知を発信した時点で効果が生じます。しかし、事業者が素直に返金に応じてくれないなどのトラブルもありますので、関係書類は少なくとも5年間は保管しておくようにしましょう。

    ② クレジットカードを使った場合は支払い停止の抗弁を行う
    塾への支払いにクレジットカードを利用した場合には、クレジットカード会社への支払い停止の抗弁も必要です。

    支払い停止の抗弁とは、購入した商品やサービスに問題がある場合、事業者との問題が解決するまで、クレジットカード会社への支払いを停止することができる権利です。クーリングオフをしたからといって、勝手に支払いをやめてしまうと、延滞があったとしてクレジットカード会社にその情報が残ってしまうリスクがありますので、注意が必要です。

    ③ 返金されない場合は弁護士に相談を
    クーリングオフの通知を送付すると、通常なら通知が届いてから数日程度で返金がなされます。

    しかし、事業者によっては素直に応じてくれないこともあります。そのような場合は弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士であれば、業者との対応方法のアドバイスや消費者に代わって業者との交渉を行うことができますので、返金が受けられる可能性が高くなるでしょう。

3、クーリングオフの期限を過ぎてしまった! 契約をなかったことにできる?

クーリングオフ期間が過ぎてしまうと、原則としてクーリングオフをすることはできません。そのような場合でも以下のような方法で契約をなかったことにできる可能性があります。

  1. (1)中途解約は可能|解約料の上限も法律で決まっている

    クーリングオフ期間が経過してしまったとしても、将来に向かって契約の解除(中途解約)が可能です。

    これにより解約手数料などが発生する可能性がありますが、特定商取引法では、中途解約が理由となる損害賠償などの額の上限を以下のように定めています。


    契約の解除がサービスの提供開始前 1万1000円
    契約の解除がサービス提供開始後 2万円または1か月分の授業料相当額のうちいずれか低い額

    なお、入学金や問題集などの受講に必要な教材にかかったお金も、中途解約により返金を受けることができます。

  2. (2)特定商取引法・消費者契約法・民法による契約の取り消しができる場合もある

    特定商取引法・消費者契約法・民法では、一定の条件に該当する場合、契約の取り消しをすることが可能です。契約が取り消されると、その契約は最初からなかったものとみなされ、事業者に対して、すでに支払ったお金の返還を求めることができます。

    ① 特定商取引法による取り消し
    特定商取引法では、不実告知(重要なことについて嘘を言うこと)や重要事項を言わない、など違法な手法を使って契約の結んだ場合、その契約を取り消すことができる、と定めています。

    たとえば、塾の受講生の合格実績として、虚偽の内容を掲載して、新規受講生の勧誘をしていた場合、事業者が嘘を言っていることになりますので、契約を取り消すことができます

    ② 消費者契約法による取り消し
    消費者契約法では、以下のような場合に契約を取り消すことができます。

    • 合格実績として虚偽の内容を説明された(不実告知)
    • 志望校に確実に合格できると説明された(断定的判断の提供)
    • 塾の契約をするまで席を立つことを許されなかった(退去妨害)
    • 塾に入らないと志望校への合格は無理だと言われた(不安をあおる告知)
    • 必要でない講座の契約をさせられた(過量契約)

    ③ 民法による取り消し
    特定商取引法や消費者契約法が利用できない場合でも、民法による取り消しができる可能性があります。

    民法による取り消しができるのは、以下のようなケースです。

    • 親の同意なく未成年者が塾の契約をした(未成年者取消権)
    • 事業者によりだまされて契約をした(詐欺)
    • 志望校の受験に必要な講座だと誤解して契約をした(錯誤)

    クーリングオフについてもっと詳しく知りたいという方は、以下のページもご覧ください。

4、塾のクーリングオフに関する相談先

塾のクーリングオフに関して分からないことがある、自分でやるのは難しいという場合には、以下の相談窓口に相談しましょう。

  1. (1)行政窓口

    消費者と企業のトラブルは、消費生活センターで相談することができます。消費生活センターでは、専門の相談員が消費者トラブルについて無料で相談に対応しており、クーリングオフの可否や方法などについて具体的にアドバイスしてくれます。

    消費者ホットライン(188番)に電話をすれば、最寄りの消費生活センターを案内してくれますので、まずは電話してみるとよいでしょう。

  2. (2)弁護士

    弁護士は、消費者トラブルをはじめとする、さまざまな法律問題を扱う専門家です。弁護士に相談をすれば、具体的な解決策をアドバイスしてもらうことができます。(ただし有料の場合もあります。当事務所は、塾のクーリングオフなどの問題についてのご相談は有料となります。)

    クーリングオフの方法だけではなく、クーリングオフ以外の対処法についても検討してもらうことができ、実際に依頼すれば弁護士に事業者との対応を任せることができます。
    自分で対応するのが不安だという方は、まずは弁護士に相談してみるとよいでしょう。

5、まとめ

塾の契約は、一定の条件を満たせば、自分でクーリングオフをすることができます。
もっとも、クーリングオフの通知を送っても事業者が取り合ってくれないといったトラブルが生じた場合には自分だけで対応するのは困難ですので、早めに弁護士や行政窓口に相談するようにしてください。

当事務所では有料ではありますが、クーリングオフの問題について相談を受け付けております。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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