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結婚相談所
クーリングオフ
2025年03月26日
結婚相談所
クーリングオフ

結婚相談所との契約はクーリングオフできる? 条件や方法を弁護士が解説

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
結婚相談所との契約はクーリングオフできる? 条件や方法を弁護士が解説
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
結婚相談所との契約は、法律で定められた書面をもらった日から8日間はクーリングオフができます。また、その期間が経過しても、過去にさかのぼって契約をなかったことにはできませんが、今後の契約の効力を消すことができる、中途解約をすることが可能です。

クーリングオフや中途解約の方法が分からない場合は、弁護士にご相談ください。

本記事では、結婚相談所と取り交わした契約をクーリングオフする方法や、それ以外に結婚相談所の契約を取り消す方法などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、結婚相談所の契約は、原則としてクーリングオフできる

結婚相談所のサービスは、「特定継続的役務提供」に該当する可能性があり、特定商取引法に基づくクーリングオフが認められる可能性があります。

  1. (1)結婚相談所のサービスは「特定継続的役務提供」|クーリングオフが可能

    「特定継続的役務提供」とは、事業者が、以下に挙げるサービスを、一定の金額を超えて、定められた期間を超えて長期・継続的に、消費者に提供するものを指します。


    特定継続的役務提供


    上で紹介したサービスは、実際に受けてみないと効果が分からず、受けてみても効果が思わしくないケースが少なからずあります。

    特定商取引法では、サービスを受ける消費者を保護するため、特定継続的役務提供についてクーリングオフや中途解約などの特別なルールを設けています。

    結婚相談所など、婚活に取り組む人に対して相手を紹介するサービスは、一部の例外を除いて「特定継続的役務提供」に該当し、一定期間のクーリングオフが認められています。

  2. (2)クーリングオフの期間は、契約書の受領日から8日間

    特定継続的役務提供を行おうとする事業者は、そのサービスを受けようとする人に対し
    ・契約を結ぶ前および契約を結んだ後
    ・遅れることなく
    ・契約事項を記載した書面
    を渡さなければなりません(特定商取引法第42条第1項~第3項)。

    対してクーリングオフの期間は
    ・契約を結んだ後
    ・遅れることなく
    ・取り交わすべき書面(=契約書面)を購入者が受け取った日から数えて8日間
    です(同法第48条第1項)。

    購入者は、期間内に事業者に対してクーリングオフ通知を発送すれば、発送日をもってクーリングオフ(退会)ができます(同条第3項)。すでに支払った代金は全額返還を請求できるほか、違約金などを支払う必要もありません。

    なお、この期間は、契約書面が交付されなければ進行しません。したがって、購入者が契約書面の交付を受けていない場合は、いつでもクーリングオフをすることが可能です。

    また、契約書が交付されていても、法定の記載事項(法第42条第2項の事項)が記載された契約書でなくてはなりませんから、同条項に定められた事項に不備があったり、虚偽記載がなされていたりすれば、クーリングオフをすることができる可能性があります

    法定の記載事項については、役務提供事業者の氏名・名称、住所、電話番号、法人代表者氏名、契約申込み又は締結担当者氏名、契約年月日、役務の種類、携帯、方法、提供時間数・回数・その他の数量の総計、役務の提供期間等、非常に多岐にわたります。

    たくさん書かなくてはいけないがゆえ、実際に契約書のようなものが交付されていても、これが、法律上交付しなければならない契約書の交付として、不十分な点があることはあり得ますので、気になる場合は、弁護士に相談してみるのも一つでしょう。

  3. (3)例外的にクーリングオフができないケース

    しかし、結婚相談所のサービスが以下のいずれかに該当する場合は、例外的に特定継続的役務提供に当たらず、クーリングオフが認められません。

    • サービスの提供期間が2か月以下
    • 金額が5万円以下
  4. (4)クーリングオフ通知の記載事項・発送方法

    もしクーリングオフしたいと思った場合には、以下の事項などを記載した書面を準備しましょう。


    クーリングオフ通知に記載するべき事項


    クーリングオフの効力は通知を発した時点で発生するので、発送日を立証できるようにしておくことが大切です。通知は、特定記録郵便・書留・内容証明郵便・電子メールなど、送った日時が証明できる方法で発送しましょう。

    クーリングオフ通知は自分で発送することもできますが、発送方法が分からない場合は、弁護士や行政の窓口にご相談するのもおすすめです。

  5. (5)クーリングオフをした後の注意点

    発送したクーリングオフ通知の写しや送付の記録は、5年間保管しましょう。後に結婚相談所側がクーリングオフできないと言って揉めた場合に、証拠として用いることができます。

    また、結婚相談所の料金をクレジットカードで決済し、まだ口座から引き落とされていない場合は、カード会社に対して「支払停止の抗弁権」に基づいて引き落としの停止を求めましょう。
    クレジットカードの利用者は、結婚相談所側に対して主張できる事由を、カード会社に対しても主張することができます(割賦販売法第30条の4)。クーリングオフをした場合は、利用料金の引き落としの停止を請求することが可能です。

2、クーリングオフの期間が過ぎても、結婚相談所の契約は中途解約できる

契約書を受け取った日から8日間を経過した場合は、結婚相談所と交わした契約をクーリングオフすることはできません。
ただし、結婚相談所のサービスが特定継続的役務提供に該当する場合は、クーリングオフ期間が過ぎたとしても、中途解約(過去の契約は取り消せないが、契約の効力を未来に向かってなくす)することができます(特定商取引法第49条)

  1. (1)結婚相談所の契約を中途解約する方法

    特定継続的役務提供に当たる、結婚相談所サービスの契約を中途解約する場合は、運営会社に対して解約通知を発送します。解約通知の主な記載事項は、以下のとおりです。

    • 宛先
    • 契約を中途解約する旨
    • 契約を特定する情報(契約年月日、契約の内容、契約金額、運営会社の名称など)
    • まだサービスを受けていない分の代金の返金を請求する旨
    • 通知の発送日
    • 発送者の住所、氏名

    クーリングオフとは異なり、中途解約については、解約通知が結婚相談所側に届いた時点で効力が発生します。そのため、配達証明付内容証明郵便など、相手方に書類が届いた年月日を証明できる方法で、解約通知を発送しましょう。

  2. (2)中途解約時の違約金には上限が設けられている

    特定継続的役務提供の契約を中途解約する際には、クーリングオフとは異なり、事業者に対して違約金や損害賠償を支払わなければなりません。ただし特定商取引法により、違約金や損害賠償には上限が設けられています。

    結婚相談所の契約を中途解約する場合の違約金等の上限額は、以下のとおりです。

    ① 契約の解除が、サービスが始まる前の場合
    3万円

    ② 契約の解除が、サービスが始まった後の場合
    ア、提供された役務の対価に相当する額 と、
    イ、2万円または契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額
    の合計

3、クーリングオフ以外に、違約金なしで結婚相談所の契約を取り消せる場合

結婚相談所の契約のクーリングオフ期間が過ぎてしまい、中途解約をする場合は、結婚相談所側に対して違約金等を支払わなければなりません。

しかし、以下の方法により、結婚相談所の契約を取り消せることがあります。契約の取り消しが認められれば、支払い済みの料金は全額返還を請求できる上に、違約金等を支払う必要もありません。
弁護士に相談して、契約の取り消しができるかどうかを確認しましょう。

  1. (1)消費者契約法に基づく契約の取り消し

    結婚相談所側から以下のような不当な勧誘を受けた場合は、契約を取り消せる可能性があります(消費者契約法第4条)。

    ・重要なことについてうそを言う(重要事実の不実告知)
    (例)料金体系や違約金などの契約条件について、虚偽の説明をした。

    ・将来どうなるか分からないことに対して、断定的に言い切る(将来における変動が不確実な事項に係る断定的判断の提供)
    (例)「絶対に結婚できる」などと言って入会を勧誘した。

    ・購入者の不利益になることを言わない(不利益事実の不告知)
    (例)解約時には違約金が発生することを一切説明しなかった。

    ・不安をあおる勧誘
    (例)「1年以内に結婚できなければ、この先人生真っ暗」などと言って入会を勧誘した。

    ・霊感その他の実証困難な特別な能力を掲げて不安をあおる勧誘(霊感商法)
    (例)「1年以内に結婚相手を見つけなければ、幽霊に取りつかれる」などと言って入会を勧誘した。

    など
  2. (2)詐欺に基づく契約の取り消し

    結婚相談所側にだまされて契約を締結した場合は、詐欺に基づき契約を取り消すことができます(民法第96条第1項)。

    たとえば「成婚率90%」と言って入会を勧誘したものの、実際には成婚率が数%程度にとどまる場合などには、詐欺に基づく取り消しが認められる可能性が高いでしょう。

4、結婚詐欺やデート商法の被害に遭ってしまった場合の対処法

その他、婚活をしている人などをターゲットにした、結婚詐欺やデート商法についてはどう対処するべきなのでしょうか。

・結婚詐欺:結婚する気がないのに、その気があるように装って近づき、金品をだまし取る詐欺行為
※アプローチしても結婚してくれないというだけでは、結婚詐欺には当たりません。金品をだまし取る目的があることが必要です。

・デート商法:恋愛感情につけ込んで、何らかの契約を締結させる悪徳商法

マッチングアプリなどを使って婚活をしていると、結婚詐欺やデート商法に遭ってしまうことがあるようです。

結婚詐欺やデート商法の被害に遭ってしまったら、契約の取り消しやクーリングオフなどで対処し、被害金の回収を試みましょう。

クーリングオフの方法や注意点、マッチングアプリの詐欺などについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

5、まとめ

結婚相談所と締結した契約は、クーリングオフができる可能性があります。クーリングオフには一定の期間制限がありますが、契約書が交付されていなかったり、契約書が交付されていても不備があったりすれば、いつでもクーリングオフすることができます。契約から時間が経っており、サービスを受けているものでも、クーリングオフができる可能性があるかもしれません。
この手続きは自力で行うこともできますが、不安な場合は弁護士や行政の窓口に相談してみましょう。

ベリーベスト法律事務所は、事業者との契約トラブルに関する一般消費者からのご相談を随時受け付けております。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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