- 消費者問題について弁護士に相談
- 弁護士コラム
- 弁護士が教える、不動産を購入したときのクーリングオフ方法
弁護士が教える、不動産を購入したときのクーリングオフ方法
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)ただし、可能な期間はあっという間に過ぎてしまうので、速やかに対応しましょう。クーリングオフの方法や注意点などが分からない方は、弁護士にご相談ください。
本記事では、不動産を購入した際のクーリングオフについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
お気軽にご相談ください。
1、クーリングオフとはどんな制度?
「クーリングオフ」とは、消費者が事業者と締結した契約をペナルティーなしで解消できる制度です。一定期間に限り、契約締結の申し込みの撤回または契約解除ができます。
消費者が事業者のしつこい勧誘を受けて、不必要な契約や不利な条件の契約を締結してしまうケースが多い種類の取引は、法律によってクーリングオフが認められています。
これにより消費者が契約を解消した場合、事業者は消費者に対して損害賠償や違約金を請求することができません。
また、商品の返品等に費用がかかる場合、その費用は事業者負担となります。
クーリングオフができる取引の例は以下の通りです。
- 訪問販売
- 電話勧誘販売
- 特定継続的役務提供
- 宅建業者を売り主とする宅地建物の売買
- 連鎖販売取引(マルチ商法)
- 業務提供誘引販売取引
2、不動産の売買契約で、クーリングオフが可能になる要件
不動産の取引についても、一定の要件を満たせばクーリングオフの対象になります。
その要件は以下の通りです。宅地建物取引業法に定めがあります。
-
(1)売る人や会社が宅地建物取引業者である
不動産売買契約をした際に、クーリングオフできるのは、売った人や会社が宅建業者であるときだけです。
宅建業者ではない人や会社から、不動産を買った場合には、宅地建物取引業法に基づくクーリングオフができません。 -
(2)買い主が宅地建物取引業者(宅建業者)でない
不動産売買契約の売り主・買い主の両方が宅建業者である場合は、宅地建物取引業法におけるクーリングオフの規定が適用されません。
したがって、この場合にクーリングオフするためには、買い主が宅建業者でないことが必要です。
宅建業者である買い主は、クーリングオフができません。 -
(3)宅地または建物の売買である
宅地建物取引業法に基づくクーリングオフの対象となる不動産売買契約は、目的物が宅地または建物であるものに限られています。
宅地(=建物の敷地に供せられる土地)以外の土地は、クーリングオフの対象外とされているのです。 -
(4)事業所等以外の場所で、購入申し込みをした・契約を結んだ
不動産を買う契約をした後に、クーリングオフするためには、買い主が事務所等以外の場所で購入の申し込みをしたとか、契約を結んだという条件が必要です。
「事務所等」とは、宅建業者の事務所や、住宅展示場などを指しています。
事業所等において購入申し込みをした場合には、その契約のクーリングオフができません。
なお、購入申し込みを経ることなく、売買契約を結んだ場合には、その契約を結んだ場所が事業所等以外の場所だった場合に限り、クーリングオフの対象になり得ます。 -
(5)クーリングオフ期間内である
不動産売買のクーリングオフは、売り主(宅建業者)から、クーリングオフが可能なこと、およびその方法を聞いた日から起算して、8日間に限り行うことができます。
8日間の期間が経過すると、クーリングオフはできなくなります。
なお、売り主の買い主に対するクーリングオフの告知は、以下の事項を記載した書面を交付して行わなければなりません。- 買い主の氏名・商号・名称、住所
- 売り主である宅建業者の商号・名称、住所、免許証番号
- 告知日から8日間が経過する日までの間、クーリングオフができること
- クーリングオフがなされたときは、売り主は買い主に対して、クーリングオフに伴う損害賠償または違約金の支払いを請求できないこと
- クーリングオフの効力は、クーリングオフ書面を発したときに生ずること
- クーリングオフがなされた場合において、買い主から売り主に対して手付金その他の金銭が支払われているときは、売り主は遅滞なくその全額を返還すること
クーリングオフの告知が行われなかった場合や、上記の必要な告知事項が漏れていた場合には、8日間のクーリングオフ期間は進行しません。
この場合、他の要件を満たしていれば、時期にかかわらずクーリングオフができます。 -
(6)引き渡しと代金の支払いのいずれかが完了していない
買い主が目的物である宅地または建物の引き渡しを受け、かつその代金の全部を支払ったときは、その契約のクーリングオフはできなくなります。
これに対して、宅地または建物の引き渡しと代金全額の支払いのどちらか一方でも完了していなければ、その他の要件を満たすことを条件にクーリングオフができます。 -
(7)書面でクーリングオフ通知を発送する
買い主がクーリングオフをする際には、売り主に対してその旨の書面を発送しなければなりません。
当事者・契約名称・締結日などによってその契約を特定し、クーリングオフする旨を記載した書面を売り主に対して発送しましょう。
クーリングオフは、売り主に対する通知を発送した時点で効力を生じます。したがって、期間内に通知を発送する必要があります。
通知の発送日の証明ができるように、内容証明郵便を利用しましょう。
3、クーリングオフ以外に、不動産売買契約を後から解消する方法はある?
クーリングオフが認められないとしても、買い主は以下の方法によってその契約を解消できる場合があります。もしクーリングオフの期間が過ぎてしまっていても、あきらめることなく、弁護士に相談しましょう。
ただし、解除・取り消しを行うためには、下記の法律上の要件を満たさなければなりません。どの方法によって不動産売買契約を解消できる可能性があるのかについては、弁護士にご相談ください。
売り主に支払った手付金を放棄して、不動産売買契約を解除します。
② 債務不履行解除
売り主の契約違反を理由に、不動産売買契約を解除します。
③ 消費者契約法に基づく契約の取り消し
事業者である売り主から不適切な勧誘を受けたことを理由に、不動産売買契約を取り消します。
④ 錯誤に基づく契約の取り消し
契約内容について重要な勘違い(錯誤)があったことを理由に、不動産売買契約を取り消します。
⑤ 詐欺に基づく契約の取り消し
騙されて契約を締結したことを理由に、不動産売買契約を取り消します。
⑥ 強迫に基づく契約の取り消し
暴力を受け、または脅されて契約を締結したことを理由に、不動産売買契約を取り消します。
4、不動産売買のトラブルについて、ベリーベスト法律事務所ができること
ベリーベスト法律事務所では、消費者問題の専門チームを作り、不動産売買トラブルの問題にも対応しております。
クーリングオフを含めた契約解消の方法や、売り主に対する損害賠償請求など、お客さまの具体的なケースに最適な解決方法をアドバイスできます。
弁護士には、売り主との交渉や訴訟の代理をご依頼いただくことも可能です。当事務所の弁護士の代理対応により、お客さまのご負担は大幅に軽減され、適切な形でトラブルを解決できる可能性が高まります。
不動産を購入したことが原因でトラブルに巻き込まれてしまったら、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
5、まとめ
不動産売買契約は、一定の要件を満たせばクーリングオフが認められます。
また、クーリングオフができない場合でも、契約の解除や取り消しが認められることがあります。不本意に不動産売買契約を締結してしまったら、弁護士に相談しどのような方法が採り得るかを検討しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、不動産取引に関するトラブルのご相談を随時受け付けております。
不動産売買契約をクーリングオフなどによって解消したい方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
消費者トラブルへの知見が豊富な消費者問題専門チームの弁護士が問題の解決に取り組みます。
マルチ商法や霊感商法、悪徳商法などをはじめとした消費者トラブルでお困りでしたら、ぜひ、お気軽にご相談ください。