弁護士コラム
集団訴訟
2024年08月19日
集団訴訟

日本で集団訴訟はできる? メリット・デメリットを交えて解説

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
日本で集団訴訟はできる? メリット・デメリットを交えて解説
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
消費者トラブルに遭ったとしても被害額が少ないと、企業を相手に追及するのをためらってしまう方も少なくありません。このような場合には「集団訴訟」を利用すれば、少ない負担で被害回復を図ることができます。

実際の事例でも、実質無料で歯科矯正ができるとしてモニター契約をしたにもかかわらず高額な費用を払わされ、健康被害が生じたとして約150人の被害者が歯科医院に対して約2億6000万円の賠償を求める訴えを提起したという事件がありました。また、倒産した脱毛エステ業者との間で「全身脱毛無制限コース」を契約し、分割払いクレジットを利用して契約代金を支払ったという事案について、ローン会社に返金を求めるために集団的被害回復訴訟を提起したという件もあります。

集団訴訟は、実際の被害回復だけでなく、被害の拡大を止めるためにも利用されています。今回は、集団訴訟とは何か、集団訴訟のメリットやデメリットなどについてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、集団訴訟とは

集団訴訟とはどのような手続きなのでしょうか。以下では、集団訴訟の概要について説明します。

  1. (1)集団訴訟とは何か?

    集団訴訟とは、同じ被害を受けた人が集まって原告となり、企業や業者に対し訴えを起こす訴訟形態をいいます。

    集団訴訟は、「クラスアクション」とも呼ばれ、元々はアメリカ合衆国において独自の発展を遂げた制度です。クラスアクションは、被害者から個別に弁護士に依頼されることを条件にしないため、比較的容易に集団訴訟をすることが可能です。

    そのため、アメリカでは、一定集団に対する差別的取り扱いが問題になることの多い公民権訴訟や、金額は少ないが多くの人が被害に遭うことが多い消費者事件において広く活用されています。

  2. (2)日本でも集団訴訟は可能

    アメリカで発展した集団訴訟ですが、実は日本でも集団訴訟を利用して被害回復を図ることができます。具体的には、以下のような事件で、集団訴訟が利用されています。

    • 医療事故や健康被害が生じた事件
    • 投資用マンションの詐欺に遭った事件
    • 航空機やバスの事故による被害に遭った事件
    • 製品に不良があり怪我や健康被害が生じた事件
    • 公害被害にあった事件
    • アスベスト被害にあった事件

    ① 日本における集団訴訟とは
    日本における集団訴訟には、弁護士に依頼する方法と消費者団体訴訟制度を利用する方法の2つがあります。

    【弁護士に依頼する方法】
    弁護士に依頼する方法は、個々の被害者が弁護士に依頼して、集団で訴えを起こすという方法です。基本的には、一般的な訴訟の場合と異なるところはなく、原告の数が複数になります。集団訴訟を提起するようなケースでは、弁護団が結成され、全国から相談を受け付けているケースも多いため、対象となる弁護団の有無を調べて連絡してみるとよいでしょう。

    【消費者団体訴訟制度を利用する方法】
    消費者団体訴訟制度は、総理大臣が認定した消費者団体が被害を受けた消費者に代わって、事業者に対する訴訟などを行うことができる制度です。
    この制度を利用することで、事業者の不当な行為に対して差し止めを求めたり、被害の回復を求めたりすることができます。

    ② 日本の集団訴訟(消費者団体訴訟制度)とアメリカのクラスアクションとの違い
    日本の集団訴訟(消費者団体訴訟制度)とアメリカのクラスアクションとでは、主に以下のような点が異なります。

    【当事者】
    アメリカのクラスアクションの場合、被害者であれば基本的には無制限に原告になることができます。しかし、日本の集団訴訟では、内閣総理大臣から認定された「適格消費者団体」または「特定適格消費者団体」だけが当事者になることができます。

    【対象事件】
    アメリカのクラスアクションの場合、対象となる事件について特に制限はありません。しかし、日本の集団訴訟(消費者団体訴訟制度)では、消費者契約に関連する事件というように対象となる事件が限定されています。

    【効力】
    アメリカのクラスアクションの場合、はっきりと構成員(クラス)から離脱すると意思表示をしない限り、裁判の結果に拘束されます。しかし、日本の集団訴訟(消費者団体訴訟制度)では、手続きに参加することをはっきり意思表示した人に対してのみ、裁判の効力が及びます。

2、集団訴訟のメリットとデメリット

集団訴訟には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

  1. (1)集団訴訟のメリット

    集団訴訟のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

    ① 証拠が多く集まりやすい
    集団訴訟を利用すると、多数の被害者が一緒に訴訟手続きに参加できますので、個々の被害者が持っている証拠を全体で共有して利用することができます。個々の被害者が持っている証拠だけでは相手の責任を追及するのに不十分だったとしても、複数の被害者が持つ証拠を共有することで相手の責任を立証できる可能性が高くなります

    ② 費用を安く抑えられる可能性がある
    消費者被害が生じたとしても、ひとりあたりの被害額は少額であることが多く、弁護士に訴訟手続きを依頼すると費用倒れになってしまう可能性があります。
    しかし、集団訴訟であれば、弁護士費用を複数の被害者が分担して負担することになりますので、ひとりあたりの費用負担を安く抑えることができます
  2. (2)集団訴訟のデメリット

    集団訴訟のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

    ① 訴訟の開始まで時間がかかる可能性がある
    集団訴訟では、他の被害者と足並みをそろえて訴訟提起を行うことになりますので、ある程度の人数が集まるまで、訴訟が開始しない可能性があります。そのため、通常の訴訟手続きに比べると訴訟の開始まで時間がかかる可能性があるという点がデメリットです。

    ② 勝訴しても戻ってくる金額が少なくなる可能性がある
    集団訴訟で勝訴したとしても、相手の資力によっては被害者全員に全額の被害回復ができないケースもあります。そのような場合、複数の被害者で被害回復金を分け合うことになりますので、ひとりあたりの回収額が少なくなる可能性があります。

3、集団訴訟以外に、自分で被害回復できる方法はある?

集団訴訟以外にも自分で被害回復可能な制度があります。以下では、集団訴訟以外の被害回復可能な制度について説明します。

  1. (1)支払督促

    支払督促とは、金銭等を相手方が支払わない場合に、これを支払わせるための簡易裁判所の手続きです。支払督促は、書面審査だけででき、裁判所への出頭も必要ありませんので、法的手続きに不慣れな方であっても簡単に利用することができる手続きです。

    ただし、相手から支払督促に対する異議申し立てがあると、通常の訴訟手続きに移行してしまう点に注意が必要です。

  2. (2)少額訴訟

    少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる簡易裁判所の訴訟手続きです。原則として1回の審理で終了しますので、通常の民事訴訟の手続きに比べて迅速な解決が期待できます。少額の被害が多い消費者事件などでは、少額訴訟に適している事件も多いでしょう。

    ただし、相手から少額訴訟ではなく通常の民事訴訟の手続きで争いたい旨の希望があると、通常の民事訴訟の手続きに移行してしまいますので注意が必要です。

  3. (3)被害回復分配金の支払い手続き

    振り込め詐欺などの被害に遭ってしまった場合には、すぐに振込先の金融機関や警察に連絡をすれば、「振り込め詐欺救済法」に基づいて、振り込んだ口座の凍結をし、口座の残高や被害金額に応じて、被害金額の全部または一部の支払いを受けられる可能性があります。これを被害回復分配金の支払い手続きといいます。

    振り込め詐欺の被害に遭ってから時間がたてばたつほど、被害回復分配金の支払いを受けるのが困難になりますので、詐欺被害に遭ったことがわかったときはすぐに対応することが大切です。

4、消費者問題は、弁護士への相談もおすすめ

消費者問題でお困りの方は、弁護士に相談するのがおすすめです。

  1. (1)お客さまのケースで最適な解決方法を提示できる

    消費者被害に遭った場合の解決方法には、集団訴訟以外にもさまざまな方法があります。最適な手段を選択するためには、専門家である弁護士のアドバイスが不可欠です。
    弁護士に相談をすればお客さまのケースで最適な解決方法を提示してもらうことができます。また、ひとつのケースでお客さまが多く集まったりすれば、集団訴訟の提起も可能になりますので、少額な被害だからといってすぐに諦めるのではなく、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

  2. (2)相手方との交渉や裁判の代理人となれる

    消費者問題を解決するためには、事業者との交渉や裁判などが必要になります。しかし、消費者と事業者とでは、情報量や交渉力の面で圧倒的に消費者の方が不利な立場にありますので、消費者だけで事業者に立ち向かうのは困難といえます。

    弁護士であれば消費者の代理人として事業者と交渉できますので、対等な立場で交渉を進めることができます。また、交渉が決裂したとしても、裁判などの法的手続きも任せることができます。

  3. (3)弁護士相談の流れと費用

    弁護士に相談する場合には、事前に相談の予約を取る必要があります。まずは、相談を希望する法律事務所に連絡して、相談の予約を取るようにしましょう。

    その後、予約した日時に法律事務所に行き、弁護士と面談相談を実施します。相談時間は限られていますので、充実した相談を行うためにも、消費者被害に遭った経緯などを時系列にまとめたメモなどを持参するのがおすすめです。また、消費者被害に関する証拠がある場合には、すべて持参するようにしましょう

    なお、弁護士に相談・依頼した場合にかかる費用としては、以下の項目があります。具体的な費用については、法律事務所によって異なりますので、相談した弁護士に確認してみましょう。

    • 相談料:弁護士に相談をする際に発生する費用
    • 着手金:弁護士に事件を依頼した際に発生する費用
    • 事務手数料:郵便切手代、コピー代、公文書取得等の事務手続きに必要な費用
    • 報酬金:弁護士に依頼した事件が解決した場合に成果に応じて発生する費用

5、まとめ

集団訴訟には、被害者ひとりあたりの費用負担を抑えながら、被害の回復を図ることができるなどのメリットがあります。しかし、多数の被害者が存在しなければ集団訴訟にまで発展しませんので、確実に問題を解決したいのであれば、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。
消費者被害でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください(相談料有料)。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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