弁護士コラム
資格商法
2024年06月11日
資格商法

不安につけ込む資格商法に注意! だまされた場合の対処法を解説

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
不安につけ込む資格商法に注意! だまされた場合の対処法を解説
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
「資格を取れば将来安心」と考える消費者の心理につけ込み、高額の情報商材や講座などを売りつける「資格商法」が横行しています。

資格商法でだまされてしまったら、速やかにクーリング・オフや契約取り消しなどを行いましょう。

本記事では資格商法について、よくある手口や被害に遭った場合の対処法などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、資格商法とは

「資格商法」とは、資格の取得に魅力を感じる消費者の心理につけ込んで、高額のテキストや講座などを売りつける悪徳商法です。

  1. (1)資格商法の手口

    資格商法の手口としては、以下のような例が見られます。

    • 「受講するだけで簡単に国家資格が取れる」などと言って、講座の受講契約を締結させ、多額の受講料を支払わせた。しかし実際には、講座の質は非常に悪く、資格取得には到底結びつかないような内容だった。
    • 比較的安い受講料を提示して勧誘し、講座の受講契約を締結させた後、受講者が解約しようとした際に、事前に伝えていなかった高額の解約料を請求した。
    • 資格商法の被害者に対して、「手数料を支払えば勧誘リストから名前を削除し、他の業者から勧誘が来ないようにしてあげます」などと言い、高額の手数料を支払うよう求めた。

    単に資格を取得したいという心理を利用するだけでなく、資格商法の被害者をターゲットにした二次被害も発生しています。

  2. (2)資格商法に類似した悪徳商法|サイドビジネス商法など

    資格商法に類似した悪徳商法として、「サイドビジネス商法(または内職商法)」と呼ばれるものがあります。
    サイドビジネス商法とは、「在宅で働いて高収入が得られる」「資格や技術を習得して仕事に生かせる」などと勧誘し、高い教材費や講習費を支払わせる商法です。

    サイドビジネス商法の特徴は、資格取得などを条件とした「仕事のあっせん」を強調する点にあります。教材費や講習費を支払ったとしても、取得した資格を生かして仕事を受注できれば元が取れると考える消費者心理につけ込むものです。
    サイドビジネス商法は、資格商法の発展形と捉えることもできるでしょう。

    実際には、サイドビジネス商法を行う業者からは仕事の紹介を全く受けられないか、受注できたとしても粗悪な仕事であるケースが大半です。資格商法と併せて、サイドビジネス商法にも引っかからないように十分ご注意ください。

2、資格商法に遭ったらクーリング・オフを検討すべき

資格商法に遭ってしまったら、テキストの購入契約や講座の受講契約などの「クーリング・オフ」を検討しましょう。

  1. (1)クーリング・オフとは

    「クーリング・オフ」とは、一定期間に限り、消費者側から契約を無条件で解除または取り消すことができる制度です。

    事業者の勧誘に誘導され、よく分からないままに契約を締結してしまった消費者に対し、本当にこの契約が必要だったのか等について熟考の機会を与えることを目的に、一定の取引についてはクーリング・オフが認められています。

    資格商法についても、契約締結に至った経緯などによっては、クーリング・オフが認められることがあります

  2. (2)クーリング・オフの対象取引・期間

    クーリング・オフの主な対象取引と、各取引におけるクーリング・オフ期間は、下表のとおりです。


    対象取引の種類 取引の概要 クーリング・オフ期間
    訪問販売 事業者が消費者の自宅等に訪れ、契約を締結する取引
    ※キャッチセールス、アポイントメントセールスを含む
    契約締結書面の受領日を含めて8日間
    電話勧誘販売 事業者が電話で勧誘を行い、消費者がそれを受けて契約を締結する取引 契約締結書面の受領日を含めて8日間
    特定継続的役務提供 事業者が消費者に対して以下のサービスを提供する取引
    • エステ
    • 語学教育
    • 学習塾等
    • 家庭教師等
    • パソコン教室等
    • 結婚相談所
    契約締結書面の受領日を含めて8日間
    個別信用購入あっせん 特定の商品・サービスの代金を分割払いする取引 契約締結書面の受領日を含めて8日間または20日間
    現物まがい商法 事業者が消費者に販売した商品の現物を交付せず、預かり証等だけを交付する取引 契約締結書面の受領日を含めて14日間
    連鎖販売取引(マルチ商法) 商品やサービスの販売等を条件とする紹介料やマージン等を材料に勧誘し、ネットワークへの入会金等を支払わせる取引 契約締結書面を受け取った日か商品受領した日のいずれか遅い日を含めて20日間
    ※将来に向けての解除はいつでも可
    業務提供誘引販売取引 仕事のあっせん等を材料に勧誘し、あっせん等の条件として商品やサービスを購入させる取引
    ※サイドビジネス商法など
    契約締結書面を受け取った日を含めて20日間

    ※通信販売による契約は、クーリング・オフの対象外です。ただし、返品不可の特約が定められていなければ、消費者が返送料等を負担した上で契約を解除することはできます。

    消費者がクーリング・オフを行うためには、上記の期間内に、事業者に対してクーリング・オフ通知を発送する必要があります(到着は期間経過後でも構いません)。クーリング・オフ通知の発送日を後で立証できるように、内容証明郵便を利用するのがよいでしょう

    なお、消費者が事業者から契約締結書面を受け取っていなければ、クーリング・オフ期間は進行しません。この場合は、契約締結から時間がたってもクーリング・オフが可能です。

3、クーリング・オフ以外に、資格商法の被害を回復する方法

クーリング・オフが認められない種類の取引である場合や、クーリング・オフ期間が経過した場合でも、以下の方法によって資格商法による契約を取り消せる可能性があります。


  1. (1)消費者契約法に基づく契約の取り消し

    事業者によって不当な契約を結ばせるような勧誘が行われた場合、消費者は事業者と締結した契約の取り消しができます(消費者契約法第4条)。


    消費者契約法に基づく主な契約取消事由
    • 重要事実の不実告知
    • 不確実な事項に関する断定的判断の提供
    • 不利益事実の不告知
    • 不退去
    • 退去妨害
    • 消費者を自分の意思で変えることが難しい場所に連れて行って勧誘する行為
    • 消費者の第三者に対する相談連絡を、威迫する言動を交えて妨害する行為
    • 経験不足につけ込み、不安をあおって勧誘する行為
    • デート商法
    • 判断能力の低下につけ込み、不安をあおって勧誘する行為
    • 霊感商法
    • 契約締結前のサービス提供または目的物の現状変更により、原状回復を困難にする行為
    • 契約締結前にサービスを提供して、対価を要求するなど、損失補償を請求する行為
  2. (2)錯誤に基づく契約の取り消し

    契約に関する重要な事実を勘違いしていた場合(=錯誤)、消費者は契約を取り消すことができます(民法第95条第1項)。

    ただし、動機の錯誤に基づく契約の取り消しは、事業者に対してその動機が表示されていた場合に限って認められます(同条第2項)。
    もっとも、錯誤について消費者側に重大な過失があった場合には、原則として錯誤取り消しが認められません(同条第3項)。

  3. (3)詐欺に基づく契約の取り消し

    だまされて契約を締結した場合(=詐欺)、消費者は契約を取り消すことができます(民法第96条第1項)。

    契約の相手方である事業者に直接だまされたのではなく、第三者が詐欺を行った場合でも、事業者が詐欺をしていることを知り、または知ることができたときは、詐欺を理由とした契約の取り消しが認められます(同条第2項)

4、資格商法に関する被害の相談窓口

資格商法の被害に遭ってしまったら、速やかに以下の窓口へ相談しましょう。


  1. (1)消費者ホットライン・消費生活センター

    消費者ホットライン(188)に電話をかけると、地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口の案内を受けられます。
    また、各地に設置されている消費生活センターの窓口へ直接相談することも可能です。

    資格商法への対応について、無料で一般的なアドバイスを受けたい場合には、行政の窓口へ相談するのがよいでしょう。

  2. (2)弁護士

    資格商法の被害を回復するため、契約の取り消しや返金請求などを行う際には、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は被害者の代理人として、事業者への連絡・請求や訴訟対応などを行います

    資格商法の被害回復方法にはさまざまな種類があります。弁護士に相談すれば、どの方法が適しているのかについてもアドバイスを受けられます。
    資格商法の被害に遭ってしまった方は、お早めに弁護士へご相談ください。

    ※ベリーベスト法律事務所では、資格商法を含む消費者被害に関するご相談は有料にて承っております。

5、まとめ

資格商法に遭って不本意に締結してしまった契約は、クーリング・オフその他の方法によって取り消せることがあります。

クーリング・オフを自分でやるのは不安だ、クーリング・オフをしたのに事業者が取り消しや返金に応じない、といった場合には、弁護士へご相談ください。有料ではありますが、お客さまの抱えるトラブルを解決できる可能性が高まります。ぜひご検討ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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