弁護士コラム
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詐欺
2024年04月18日
屋根
詐欺

屋根工事の詐欺にあったら、クーリングオフできる? 弁護士が解説

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
屋根工事の詐欺にあったら、クーリングオフできる? 弁護士が解説
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
屋根に不具合があるなどとうそをつき、不必要な工事を行って修理費用を請求する詐欺被害事案が発生しています。

屋根修理工事について詐欺にあってしまったら、速やかに弁護士へご相談ください。

本記事では、屋根工事に関する詐欺の事例や被害者のとりうる対処法などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、よくある屋根工事詐欺の事例

屋根修理業者が顧客をだまし、不必要な工事を行って代金を請求する詐欺事案(=屋根工事詐欺、屋根修理詐欺)が発生しており、消費者庁も「点検商法」として注意を呼び掛けています。特に、以下のような事例がよく見られるので十分ご注意ください。

  1. (1)無料点検後、虚偽の不具合等を指摘する

    「無料点検を行う」などと言って、屋根に上ってあれこれ確認するそぶりをした後に「瓦が割れていた」「大きな穴が空いていた」などと虚偽の不具合を指摘して顧客の不安をあおり、修理工事の承認を迫るのは、悪徳業者の常とう手段です。
    悪質なケースでは、業者が故意に瓦を割ったり、屋根を傷つけたりする例も見られます。

    無料の点検だからといって、見ず知らずの業者を屋根に上らせてはいけません。屋根の点検が必要な場合は、信頼できる業者をご自身で見つけて依頼しましょう。

  2. (2)勝手に工事を行い、代金を請求する

    屋根の点検を行った後、「壊れていたので直しておきました」などと言って、顧客の承認を得ることなく工事を実施して代金を請求するケースも、屋根工事詐欺の一種です

    顧客が承認していない屋根工事を勝手に行うことは、消費者契約の取り消し事由に該当するほか(後述)、損害賠償請求(民法第709条)の対象や器物損壊罪(刑法第261条)による処罰の対象にもなります。

    もちろん、承認していない工事については、実施済みであっても代金を支払う必要はありません

2、屋根工事詐欺のクーリングオフの要件

業者にだまされて屋根工事に関する契約を締結してしまったとしても、以下の要件をいずれも満たす場合にはクーリングオフが認められ、ペナルティーなしで契約を解除することができます(特定商取引法第9条)。

  1. (1)訪問販売に当たること

    業者の訪問販売を受けて締結した契約は、クーリングオフの対象となります

    クーリングオフの対象となる訪問販売による契約は、以下のいずれかに該当するものです(特定商取引法第9条第1項)。自宅を訪問してきた業者の勧誘に応じて屋根工事の契約を締結した場合は、クーリングオフの対象となります。

    • A) 業者の営業所等以外の場所において、当該業者が顧客から契約の申し込みを受けたもの
    • B) 業者がキャッチセールスで呼び止めた顧客との間で締結したもの
  2. (2)クーリングオフ期間(8日)を経過していないこと

    訪問販売のクーリングオフ期間は、契約事項を記載した書面の交付を受けた日を含めて8日以内です。この期間が過ぎると、クーリングオフができなくなります。

    なお、契約書面の交付を受けていない場合には、クーリングオフ期間が進行しないため、いつでもクーリングオフが可能です。

3、屋根工事詐欺にあって締結した契約を取り消せるケース

屋根工事詐欺にあって締結した契約は、以下どちらかに該当するときには取り消すことができます。

  1. (1)パターン①|業者が不当な勧誘を行った場合

    消費者契約法第4条では、事業者によって不当な勧誘が行われた場合には、消費者による契約取り消しを認めています。

    屋根工事に関する契約については、一例として以下のような場合に契約を取り消すことが可能です。

    ・ 契約上の重要な事項につき、事実と異なる説明をした
    (例)工事代金として10万円を請求するつもりなのに、契約締結前の段階では「工事代金は5万円です」と説明していた。

    ・ 不確実な事項について「確実である」と説明した
    (例)「今屋根の工事をしておけば、今後30年は絶対に屋根が壊れません」などと言って勧誘した。

    ・ 消費者にとって不利な情報を告げなかった
    (例)「工事後に不具合があればいつでも無償修理します」と説明していたのに、実際には無償修理に厳しい条件が設定されていた。

    ・ 消費者に退去を求められたにもかかわらず、自宅や勤務先などに居座った
    (例)帰ってほしいと言われたのに、「壊れた屋根を見過ごすなんてできません」などと言って顧客の自宅に居座った。

    ・ 消費者の判断能力の低下を利用して、不安をあおるような勧誘をした
    (例)認知症で判断能力が低下した顧客に対して、「今屋根を直しておかなければ、1年以内には屋根が崩れて下敷きになりますよ」と言って屋根工事の承諾を求めた。

    ・ 霊感など、合理的に実証が難しいことをもとに、不安をあおるような勧誘をした
    (例)「風水によれば、屋根から邪気が出ており、修理しなければ大きな不幸が起こると示されています」と言って屋根工事の承諾を求めた。

    ・ 契約締結前にサービスを提供し、断ろうとする消費者に損失補償を要求した
    (例)屋根工事に関する契約を締結する前に、顧客の承諾を得ずに工事を実施した上で代金を請求した。

    なお、顧客が事業者である場合には、消費者契約法に基づく契約の取り消しは認められない可能性があります

  2. (2)パターン②|業者が詐欺を行った場合

    民法上の詐欺に該当する場合にも、契約の取り消しが認められます(民法第96条第1項)。屋根工事業者が何らかのだます行為をし、顧客がそれにだまされた状態で契約を締結した場合には、詐欺による契約の取り消しが可能です。

    詐欺による契約の取り消しは、顧客が事業者である場合にも、上記の要件を満たせば認められます。

4、屋根工事詐欺の被害者が返金を求める方法

屋根工事詐欺に遭い、詐欺業者に対して支払ってしまった代金は、契約を解除または取り消した上で返金を請求できます。

返金請求に当たっては、まず詐欺業者の名称と連絡先を突き止めなければなりません。詐欺業者に関する情報が分からない場合は、弁護士や警察に相談しましょう。

詐欺業者の名称や連絡先が分かったら、解除通知、または取消通知と請求書を兼ねた書面を、内容証明郵便で業者に対して送付しましょう。業者から返答があったら、返金交渉を行います。

業者が返金に応じない場合や返答がない場合は、訴訟を通じて返金を請求することが考えられます。訴訟に関する対応は、専門的知識を有する弁護士に依頼するのが安心です。

なお、返金を請求する額が60万円以下の場合は、少額訴訟を提起することも考えられます
少額訴訟を提起する際には、業者の住所地又は場合によってはご自身の住所地を管轄する簡易裁判所に訴状を提出します。
少額訴訟の審理は原則として1日で完結し、審理の内容も比較的簡素です。そのため、弁護士に依頼せずご自身で対応する方も多くいらっしゃいます。

参考:「少額訴訟」(裁判所)

5、屋根工事詐欺の被害について相談できる窓口

屋根工事詐欺の被害について相談できる主な窓口としては、消費生活センター等と弁護士が挙げられます。

① 消費生活センター等
事業者とのトラブルにつき、消費者からの苦情や相談を受け付けている公的機関です。
消費者ホットライン(188)を通じて電話で相談することもできます。

参考:「全国の消費生活センター等」(独立行政法人国民生活センター)

② 弁護士
紛争解決を取り扱う法律の専門家です。事業者に対するクーリングオフ・契約の取り消し・返金請求などを代行します。

消費生活センター等に相談すれば、屋根工事詐欺の被害を解決する方法について一般的なアドバイスを受けられますが、事業者に対する返金請求等を代理してもらえるわけではありません

訴訟などを通じて事業者に返金を請求したい場合には、弁護士に依頼する必要があります。弁護士は依頼者の代理人として、屋根工事詐欺の被害を回復するために幅広いサポートを行っています。

6、まとめ

屋根工事詐欺の被害にあわないようにするには、よくある被害事例について知識を得た上で、怪しい業者が訪問してきたら、はっきりと断ることが大切です。

万が一屋根工事詐欺の被害にあってしまったら、行政窓口などに相談して自分で対処するか、弁護士に解決を依頼しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、悪徳商法や詐欺被害などに関して、消費者被害を受けた方からのご相談を随時受け付けております。屋根工事詐欺の被害にあってしまい対応方法が分からない方、代理人として業者との間に入ってもらいたいといったご希望をお持ちの方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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