弁護士コラム
ぼったくりバー
デート商法
2023年11月09日
ぼったくりバー
デート商法

入った店がぼったくりバー! 被害にあわずに退店する方法はある?

監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
入った店がぼったくりバー! 被害にあわずに退店する方法はある?
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
いわゆる「ぼったくりバー」は、昭和の時代から存在していました。ただ、かつては路上で客引きの甘言に乗せられて被害に遭うという形態が大半でしたが、近年は出会い系サイトやマッチングアプリを利用して出会う男女も増え、それに伴い、それらを利用した、ぼったくりバーでの被害が増えてきています。

出会い系サイトやマッチングアプリで偶然出会った人に連れられて行ったお店がぼったくりバーで、法外な料金を請求されることもありますので注意が必要です。もし、入ったお店がぼったくりバーだった場合にはどのように対処したらよいのでしょうか。また、ぼったくりバーでの被害にあわないようにするためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

今回は、ぼったくりバーでの被害を回避・最小限に抑える方法と、ぼったくりバーでの被害にあわないためのポイントについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、ぼったくりバーに入った場合の、被害の回避・被害を最小限に抑える方法

ぼったくりバーに入ってしまい、不当な料金を請求された方は、以下のような方法を使えば、被害を回避または最小限にとどめられる可能性が高まります。

  1. (1)不当な料金を請求されても絶対に支払わない

    会計時に身に覚えのない料金を請求された場合には、まずは、お店側に料金の明細を示すように求めましょう。

    料金の明細に事前の説明のないサービス料や追加料金などが計上されている場合には、支払いを拒絶することが大切です。もちろん自分が飲食した分については支払わなければなりませんが、それを超える法外な料金については支払う必要がありません。

  2. (2)支払うにしてもクレジットカードで払う

    ぼったくりバーで支払いを拒絶すると、こわもての従業員から脅迫まがいの料金請求を受けることもあります。支払いを拒絶し続けることで、身の危険を感じた場合には、取りあえずクレジットカードで料金の支払いを行いましょう。

    お店を出た後に警察署に行き被害届を提出した上で、クレジットカード会社に連絡すれば、支払いを止めてもらえる可能性があります(これを「支払い停止の抗弁」といいます)

  3. (3)やり取りを録音や撮影しておく

    ぼったくりバーでの被害を警察に相談する場合には、証拠があれば警察も動きやすくなります。

    ぼったくりバーであることに気付いたら、すぐにスマートフォンなどの録画や録音機能を利用して、その場の状況を証拠に残しておくことが大切です

    また、不当な料金請求に加えて、暴行、脅迫、恐喝などの犯罪行為があった場合には、警察も刑事事件として立件しやすくなります。

2、警察での対処法

90年代までは、ぼったくりバーでのトラブルは、「民事不介入」として警察に受け付けてもらえない場合がほとんどでした。しかし、平成12年に東京都でいわゆる「ぼったくり防止条例」(制定当初の正式な名称は「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等の規制に関する条例」、その後平成18年に「性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例」と改称)が制定され、現在では同様の条例が8都道府県(北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県及び福岡県)で制定されており、料金等の表示義務・不当な勧誘等の禁止・乱暴な言動や暴力による料金不当取立の禁止などが規定されていますので、条例の対象地域内での事案であれば、警察はぼったくり防止条例違反の有無について捜査、行政調査をしてくれるようになりました。

また、未だこのような条例が制定されていない府県におきましても、ぼったくりの過程で恐喝罪、暴行罪、傷害罪等の犯罪が成立する可能性がある場合には、警察も対応してくれるようになりました。

そこで、ぼったくりの被害に遭われた方には以下のような対応をお勧めいたします。

  1. (1)恐喝、暴行、傷害に当てはまる行為がある、と証拠を出す

    ぼったくりバーでの不当な料金請求は、客を欺いて高額な料金を請求するものであることから、理論上は、詐欺罪が成立する余地があります。しかし、店側にだます意思があったかどうかの立証は困難な部分があり、被害直後に詐欺罪の成立を判断することは、現実には難しいです。

    しかし、恐喝、暴行、傷害に当てはまる行為があった場合には、刑事事件として立件できる可能性がありますので、警察も動いてくれる可能性が高いです。そのためには、ぼったくりバーで恐喝、暴行、傷害などの被害を受けたことを立証できる証拠が必要になりますので、お店でのやり取りをスマートフォンの録音や録画で記録しておくことが大切です。

  2. (2)証拠がなくても相談した記録は残す

    確実な証拠がなくて、警察が刑事事件として立件してくれない場合には、「警察に行っても意味がないのでは?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

    しかし、警察に相談したという事実は、記録に残りますので、ぼったくりバーの立件に動いてくれなかったとしても必ず相談に行くことが大切です。ぼったくりバーでの料金をクレジットカードで支払った場合、警察への相談をしたという証拠があれば、支払い停止の抗弁を受け入れてもらいやすくなります

3、そもそも「ぼったくりバー」に対して支払い義務はあるのか? ぼったくりは犯罪ではないのか?

上記のような対策で目の前の被害を抑えることも大切ですが、そもそもぼったくりバーとは何か、という知識を深めることも大切です。

ぼったくりバーに対して、料金を支払う義務はあるのでしょうか。また、ぼったくりバーでの不当な請求は犯罪にはならないのでしょうか。

  1. (1)不当な料金の支払い義務はない

    飲食店で提供される食べ物や飲み物の料金は、基本的には飲食店が自由に決めることができます。客は、メニューを見て料金などに納得した上で注文をしますので、他の店よりも高額だからといって、支払いを拒絶することは原則としてできません。

    しかし、ぼったくりバーでは、客は店側から料金説明を受けることなく、サービスの提供を受けています。たとえば、ぼったくりバーに入店する際に客引きの従業員から「1時間飲み放題3000円」と言われていたにもかかわらず、チャージ料として10万円を請求されるようなケースです。このようなケースでは、錯誤(民法95条)による取り消しを主張して、支払いを免れることができます。

    また、あまりにも法外な料金請求については、公序良俗違反(民法90条)として、無効と判断されることもあります。

    このように根拠となる法律はさまざまありますが、ぼったくりバーで不当な料金請求を受けた場合には、法的な支払い義務はないと判断される可能性が高いでしょう。

  2. (2)詐欺罪での立件は難しいのが実情

    ぼったくりバーでの不当請求は、一応は詐欺罪にあたり得る可能性はありますが、詐欺罪が成立するためには、店側のだます意図を立証しなければなりません。

    飲食代金やサービス料金などは店側が自由に設定することができますので、高額な請求があったとしても、それだけではだます意図まで立証することはできません。そのため、ぼったくりバーを詐欺罪で立件するのは困難である、というのが実情です。

    なお、ぼったくりバーでの料金請求の際に、暴力を振るわれたり、強い口調で脅されたりした場合には、暴行罪、傷害罪、恐喝罪が成立する可能性があります。これらについては、詐欺罪よりも立件が容易な犯罪ですので、十分な証拠があれば警察も動いてくれます。

4、ぼったくりにあわないために気を付けるべきこと

ぼったくり被害にあわないためにも、以下の点に気を付けて行動するようにしましょう。

  1. (1)出会ったばかりの人に連れられて行ったお店には入らない

    出会い系サイトやマッチングアプリなどを利用して初めて出会った男性が女性に連れられて行ったお店でぼったくり被害にあうケースが多いです。お互いに相手の素性をよく知らない状態だと、ぼったくりバーに連れて行かれたとしても、そのまま逃げられてしまえば相手を問い詰めることもできません。

    そのため、初めて出会った人と食事に行くときは、自分でお店を決めるか、チェーン店などを利用することで、ぼったくり被害にあう可能性を低くすることができます。なお、警視庁のホームページの中の「盛り場トピックス(最近の盛り場の被害事例)」というページでは、最近多発している被害事例を紹介していますので、被害を回避するためにも一度参照してみてください。

  2. (2)料金表をちゃんと見る

    飲食店で注文をする際には、従業員に料金表を持ってきてもらい、金額に納得した上で注文することが大切です。定番のドリンクだからといって、料金表を見ずに注文をしてしまうと、想定外に高額な費用を請求されるおそれもあります。

    そもそも、飲食代金やサービス料金の設定は店側が自由に設定できますので、不当な料金請求を受けないためには、客側もしっかりと意識して行動することが大切です。

  3. (3)注文前にぼったくりと気が付いた場合には退店する

    入ったお店の雰囲気からぼったくりバーかもしれないと思った場合には、注文する前にすぐに退店することで被害を最小限に抑えることができます。

    出会ったばかりの人と初めてのお店に行くときは、「ぼったくりバーかもしれない」という意識を常に持って、注意して周りを観察するようにしましょう。

5、まとめ

ぼったくりバーでの被害にあったときは、警察、国民生活センターなど行政窓口、弁護士などに相談をすることができます。

警察に相談した場合、事案によって、または地域によっては、対応してもらえないこともありますが、刑事事件として立件可能な事案、あるいは「ぼったくり防止条例」違反の事案であれば、動いてくれます。

国民生活センターなど行政窓口でも、ぼったくりバーでの料金トラブルに関し、無料の電話相談を実施しています。専門の相談員がトラブル解決の方法についてアドバイスしてくれます。

弁護士に相談をすれば、不当な料金請求には応じる必要はない旨アドバイスしてくれますし、クレジットカードでの支払いであればクレジットカード会社と交渉をして支払い停止を行ってくれます。

いずれにしても、まずはぼったくり被害にあわないための心掛けが重要になります。万が一、ぼったくり被害にあってしまった場合には、早めに警察、国民生活センターなど行政窓口、弁護士などに相談するようにしましょう。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
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