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投資詐欺にあってしまった! 被害回復のためにできることを解説
監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)本記事では投資詐欺について、被害の典型例や被害を回復するための方法などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
お気軽にご相談ください。
1、投資詐欺の典型的なケースの例
投資詐欺のパターンは多岐にわたりますが、特に以下のような被害事例が多発しています。このような投資詐欺にあってしまった方は、速やかに弁護士へご相談ください。
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(1)無登録業者に勧誘されて投資をしてしまった
投資の勧誘(募集・私募)、投資助言、顧客資産の運用などを行う際には、業務の内容に応じて、金融庁による金融商品取引業者としての登録を受けなければなりません(金融商品取引法29条)。無登録でこれらの業務を行うことは、一部の例外を除いて違法です。
投資詐欺は、そのほとんどが無登録業者によって行われています。無登録業者の投資勧誘に応じて資金を預けてしまうと、最終的に元本がほとんど戻ってこなくなるケースが非常に多いです。 -
(2)知らない暗号資産への投資を勧誘されて、お金を預けてしまった
投資を行う際には、投資対象を慎重に選ばなければなりません。よく知らない資産に投資すると、元本がすべて失われてしまうこともあります。
特に暗号資産(仮想通貨)は、発行に関する規制が不十分であるため、資産としての裏付けがないものが多数発行されています。
ホワイトペーパーなどに示された理念(実態は机上の空論)を妄信して、誰も知らないような暗号資産に投資すると、元本を失ってしまう危険性が極めて高いです。 -
(3)未公開株式への投資を勧誘されて、お金を預けてしまった
未公開株式も、投資詐欺によく用いられる投資商品のひとつです。
金融商品取引所に上場されている株式とは異なり、未公開株式に関する情報は不透明なことが多いです。そのため、いったん投資をすると、しばらく資金を回収できないことに注意が必要です。
発行会社が成長して大きくなれば多額の利益を得られますが、投資詐欺に用いられる未公開株式の発行会社は、実態のないペーパーカンパニーであることが大半です。
投資家から集められた資金は、会社の事業とは関係がない目的(投機など)に流用され、結局元本がすべて失われてしまうケースが後を絶ちません。
2、投資詐欺の被害を回復できた裁判例
名古屋地裁平成29年12月27日判決の事案では、会社の発行した社債の販売について、組織的詐欺であったことを理由に、被害者が首謀者・会社の取締役・実質的代表者・関連会社などに対して損害賠償を請求しました。
同事案では中心人物であるY1が主導して、不特定多数の消費者向けに、年10%以上の配当や元本保証などをうたって、社債の電話勧誘販売を行いました。
しかし、Y1の設立したB社・C社(消費者向けの電話勧誘販売を担当)が金融商品取引法違反の疑いで強制捜査を受けたことをきっかけに、社債の解約申し出が加速しました。その結果、社債償還等の支払いが困難となり、B社・C社はいずれも破産手続開始の決定を受けました。
名古屋地裁は、社債の配当・償還が早晩できなくなるであろうことを、Y1は認識しながら社債の販売を続けたとして、社債の販売を詐欺行為であると認定しました。
その上で、Y1の不法行為責任を認めたことに加え、会社の取締役・実質的代表者・関連会社・勧誘担当者の共同不法行為責任なども認定し、社債購入費用と弁護士費用を合わせた額の損害賠償を命じました。
このように、大規模な組織的投資詐欺の事案では、幅広い関係者に対して損害賠償が命じられることがあります。多くの関係者に対する損害賠償請求が認められた場合、投資詐欺の被害者救済が実現する可能性が高まります。
3、投資詐欺の被害を回復するための方法
以上で解説した通り、投資詐欺にあったとしても被害回復ができる可能性があります。
ここでは、裁判も含めた投資詐欺の被害を回復する方法を解説します。
状況に合わせて適切な方法を選択し、できる限り完全な被害回復を目指しましょう。どの方法によって被害回復を目指すべきかについては、弁護士にご相談ください。
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(1)クーリングオフ
投資契約の勧誘行為や契約内容が以下のいずれかに該当する場合は、一定期間に限り「クーリングオフ」が認められます。クーリングオフをすれば、違約金の支払いや損害賠償の義務を負うことなく、投資に関する契約を解除できます。
① 訪問販売
営業所等以外の場所で勧誘を受けた場合は、訪問販売に当たります(キャッチセールスも含みます)。
② 電話勧誘販売
電話で勧誘を受け、郵便などによって非対面で購入申し込みをした場合は、電話勧誘販売に当たります。
③ 投資顧問契約
投資判断についての助言(アドバイス)を受ける内容の契約は、投資顧問契約に当たります。
④ 現物まがい商法
何らかの商品(物)を購入したものの、現物ではなく預かり証などしか交付されなかった場合は、現物まがい商法に当たります。
⑤ 連鎖販売取引(マルチ商法)
他の人に商品を販売すれば、紹介料やマージンなどを得られると誘われて入会金などを支払った場合は、連鎖販売取引に当たります。
上記の各販売・取引に関するクーリングオフ期間は、以下のとおりです。期間が経過するとクーリングオフができなくなるので、早めに業者に対してクーリングオフ通知を発送しましょう。
各販売・取引 クーリングオフ期間 - 訪問販売
- 電話勧誘販売
契約書面の受領日から8日間 - 投資顧問契約
契約書面の受領日から10日間 - 現物まがい商法
契約書面の受領日から14日間 - 連鎖販売取引(マルチ商法)
契約書面の受領日から20日間
なお、クーリングオフの期間が過ぎてしまった場合でも、契約の解除・取り消しができるケースもあります。あきらめずに、弁護士などに相談することが大切です。
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(2)振り込め詐欺救済法に基づく救済
振り込め詐欺救済法では、詐欺グループの銀行口座を凍結した上で、被害者に対して被害回復分配金を支払う救済制度を定めています。
参考:「振り込め詐欺救済法」(預金保険機構)
詐欺グループの口座に資金を振り込んでしまった方は、その金融機関に対して直ちに被害を申告し、振り込め詐欺救済法に基づく口座の凍結を求めましょう。 -
(3)刑事告訴
投資詐欺は「詐欺罪」(刑法第246条第1項)に当たりうる犯罪行為なので、被害にあった方は警察・検察に対して刑事告訴ができます。
刑事告訴をすれば、投資詐欺の犯人が訴追される可能性が高まります。犯人を特定できれば、返金を請求できる可能性があります。
投資詐欺の被害にあったことに気づいたら、一日も早く警察に告訴状を提出しましょう。 -
(4)詐欺業者に対する返金請求
詐欺によって資金をだまし取った業者は、被害者に対してその資金を返す義務を負います。被害者は詐欺業者に対して、示談交渉や訴訟などを通じて返金を請求できます。
詐欺グループの首謀者や会社などが特定できれば、返金される可能性が高まります。警察にも相談し、詐欺グループの特定を急ぎましょう。
4、投資詐欺の2次被害に要注意
投資詐欺の被害にあった後、被害金を回復したい一心でさまざまな業者を頼った結果、別の詐欺業者に引っかかってしまう2次被害事例が後を絶ちません。
たとえば「被害金を取り戻してあげる」「別のもうけ話がある」などとすり寄って来る業者には要注意です。被害者の弱みや不安に付け込んで、さらにお金をだまし取ろうとしている可能性があります。
投資詐欺の被害金を取り戻したい方は、怪しい業者に頼るのではなく、お早めに弁護士までご相談ください。
5、投資詐欺の被害回復に向けて弁護士ができること
投資詐欺の被害にあってしまったら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は以下のようなことができるからです。
3章で解説した、さまざまな方法の中から、状況に合わせた被害回復の方法をアドバイスいたします。
② 被害回復の手続きの代理
詐欺業者に対する返金請求を中心に、投資詐欺の被害を回復するための手続きを、代理人として全面的に代行いたします。
③ 刑事告訴のサポート
告訴状の作成・提出など、刑事告訴のサポートについてもご対応可能です。
投資詐欺の被害回復には、一日も早い弁護士へのご相談が大切です。投資詐欺にあってしまった被害者の方は、お早めに弁護士までご相談ください。
6、まとめ
証券会社などではない無登録の業者が勧誘する投資は、詐欺である可能性が非常に高いです。もし投資詐欺の被害を受けたとわかったら、速やかに弁護士に相談して被害の回復を目指しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、投資詐欺に関するご相談を随時受け付けております。消費者被害事案を取り扱う弁護士が、お客さまのご状況に応じて返金可能性が高い方法を検討し、最大限被害金を回収できるように尽力いたします。
投資詐欺の被害にあい、業者に返金を請求したい方や、怪しい業者から投資を勧誘されて対処法にお悩みの方は、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
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